壺齋散人の 映画探検 |
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キム・ギドクの2014年の映画「殺されたミンジュ」は、ある殺人事件をめぐって、殺人を実行した連中に謎の集団が報復するといった内容。だが、その殺人事件がどのようにして起きたのかとか、謎の集団が被害者とどのような関係にあるかとか、物語の展開にとって最小限必要な情報がないままに、謎の集団が次々と人間を拉致・監禁し、拷問を加える場面が展開するので、見ている方としては、かなりイライラさせられる。 殺人実行者たちの中には、国家機関の枢要部署の人間もいるようだから、ただの犯罪ではなく、政治的な背景があることが、次第にわかってくる。一方、謎の集団は、その首領が殺された女性と何らかの関係にあることは薄々分かってくるが、詳細は依然不明だ。かれらが殺人実行犯を次々と拉致・監禁して拷問を加える動機もいまひとつわからない。首領の言い分だと、腐った韓国社会に鉄槌をくらわすということらしいが、その鉄槌の下し方があまり合理的とは言えない。個人を拉致・監禁して拷問することくらいで是正される社会悪なら、そんなに大したことではないと思えるからだ。 謎の集団は、どんな経緯で集まったのか、それがよくわからない。しかも彼らは鉄の団結というわけではない。拷問を繰り返し見るうちに、嫌気がさすものが現われるし、相手が強く出ると日和るものも現れる。最後には、首領を殺害するものまで現れる。この映画は、謎の集団の首領がメンバーの一人によってハンマーのようなもので叩き殺されるところで終わるのである。 面白いのは、殺人実行のメンバーの大部分を一人で演じていることだ。キム・ヨンミンという俳優が一人八役を演じている。だから、良く見分けていないと、こんがらがってわけがわからなくなる。 |
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