壺齋散人の 映画探検
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エロスは甘き香り:藤田敏八のロマンポルノ



藤田敏八は神代辰巳とならぶロマンポルノの旗手として、1970年代に活躍した。ポルノだけではなく、一般の映画でも佳作を作ったことは、神代と同じだ。藤田の場合には、山口百恵などを起用したいわゆるアイドル映画を作った。

1973年の作品「エロスは甘き香り」は、藤田のロマンポルノの代表作といえるものだ。この映画では、まだ無名だった桃井かおりをフィーチャーして、濃厚なセックスシーンを手掛けた。桃井はいわゆるアイドルではないが、変わったキャラクターが人気を呼び、一時はアイドル並みの人気を誇った。その彼女がこの映画では、豊満な肉体をゆらゆらさせながら、悩殺シーンを披露しているのである。

実際桃井の肉体は実に豊満だ。普通、どんな豊満な女でも仰向けに寝れば胸のあたりもへこむものだが、桃井の場合には仰向けになってもまた乳房は盛り上がったままだ。その乳房を、相役の高橋長英がむしゃぶる。高橋は桃井だけではなく、桃井の女友達伊佐山ひろ子にもアタックする。こちらは桃井ほど豊満ではないが、しかし男の気をそそるタイプである。こういう女たちを相手に裸で絡み合うことができるのだから、高橋は役者冥利に尽きるというべきである。

ロマンポルノであるから、一応文芸作品並みの筋書きはある。二組の男女がひょんなことから米軍用のコテージで共同生活をするようになり、その挙句にカップルが襷がけのような形でスワッピングめいたことをする。そこへ桃井の昔の男が加わって、五人の共同生活が始まるが、その先に待っているのは知れたこと、乱交に違いないと観客に思わせてエンディングになるという次第だ。

部隊が米軍キャンプというのが面白い。どこの場所かはよくわからないが、前後のコンテクストからして東京多摩地方の米軍キャンプらしい。そこのキャンプの一角が日本人に払い下げられたらしく、桃井はそこに住んでいる。そこへ、売れない写真家の高橋が、ずうずうしくころがりこんできて、早速桃井を強姦する。しかし強姦された桃井は怒らない。かえって高橋に執着するのだ。高橋の一物に惚れたのだろう。

その一物が、女友達にも見舞われる。それを知った桃井は嫉妬するが、それを女友達の亭主が慰めてくれる。この亭主は自分の女房を寝取られた仕返しに、寝取った男の相方を強姦したつもりなのだが、かえってその相方の桃井から、これも一物の性能を認めてもらえるのだ。

こういうわけで、下半身だけでつながった四人の男女が、スワッピングとも乱交ともつかない乱痴気騒ぎを描くところがこの映画の眼目だ。好きな時に好きな相手とセックスする。世の中にこれほど素晴らしいことはない。人間が生きているのは、セックスのエクスタシーを堪能するためだといった、シニカルな見方がこの映画の視点を支配している。

このように眼目はあくまでも、性的エスクシターの賛美にあり、筋書きはそのエクスタシーを高めるための香辛料のような役目を果たしているのである。




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