壺齋散人の 映画探検 |
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アキ・カウリスマキの1990年の映画「コントラクトキラー(I Hired a Contract Killer)」は、自殺願望の男が自分自身を殺すために殺し屋を雇うという話を描いたもの。自殺願望の理由が会社を首になったことだというから、ちょっと人をバカにしたところがある。会社を首になったくらいで自殺しようと考えるのはあまりにも短絡的だ。しかも主人公はフランス人で、舞台はイギリスということになっている。ただし、映像から見る限り、どうもイギリスの町ではなく、北欧の町のように見える。 イギリスのさる会社に勤めているフランス人のアンリが、人員整理の対象になって解雇される。まず外国人から整理すると言われるのだ。そのことに絶望したアンリは、太いロープを買い求め、それで首を吊ろうとする。だがうまくいかない。次はガス自殺を試みる。これもうまくいかない。ガスの会社でストがあり、供給がストップしたのだ。 思い余ったアンリは、ギャングを訪れ、殺し屋を雇いたいと申し出る。ターゲット一人につき1000ポンドの報酬だ。殺す相手が自分自身だというので、ギャングはいぶかるが、ビジネスに徹して依頼を引き受ける。 すっかり死ぬ気になったアンリは、殺し屋向けのメッセージをドアにはりつけ、近所のパブに出かける。そこでバラを売る女と出会い、すっかり意気投合する。どうも愛してしまったらしいのだ。すると命が惜しくなる。だが、殺し屋はすでに身辺にまで迫っていた。 怖くなったアンリが女に相談すると、キャンセルすればいいと言われる。報酬の千ドルはあきらめるしかない。その気になったアンリが、ギャングの事務所を訪ねていくと、再開発のために破壊されて跡形もない。意気消沈しているところに、ギャングの手下を見かける。そのあとを追っていくと、手下どもは宝石店で強盗を働いている最中。その強盗騒ぎに巻き込まれたアンリは、指名手配されてしまう。容疑は、真犯人が捕まったことで晴れるが、殺し屋は身近まで迫ってくる。 アンリはついに殺し屋と対面する。その殺し屋は、末期がんで余命いくばくもない。どういうわけか、最初アンリに向けた拳銃の筒先を自分自身に向けて発砲。つまり自殺してしまう。そこで、アンリと恋人にとって、脅威となるものは何もなくなる。かれらは気儘に暮らせるだろう。外国にも行ける。そもそも労働者に祖国などないのだから、地球上どこでも好きなところで暮らせばよいのだ。 |
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