壺齋散人の 映画探検 |
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アキ・カウリスマキの1992年の映画「ラ・ヴィ・ド・ボエーム(La Vie de bohème)」は、一応フィンランド映画ということになっているが、舞台はパリであるし、登場人物はフランス語を話している。だからフランス映画といってもよい。フィンランドは人口が少ないので、フランス風にしたてたほうが、興行的には都合がよい。 三人の男たちの友情がテーマである。それに一組の男女の恋愛がからめてある。三人の男たちとは、作家と画家と音楽家である。画家はアルバニア人で、フランスには不法滞在している。その男が、貧しい女と恋をする。かれは不法滞在がばれてアルバニアに強制送還されるのだが、再びフランスに入国し、恋を成就させようとする。だが女は末期がんになっていて、恋が成就するまえに死んでしまう、というような内容である。 映画はまず作家がアパートから追い出されるところから始まる。家賃を滞納したせいだ。かれが追い出された後、音楽家が入居してくる。その音楽家と作家は意気投合する。作家はまた、カフェでアルバニア人の画家と仲良くなる。かくて、三人が互いに友情で結ばれる。映画はかれらの友情あふれる関係を描くのである。 ある女が、アルバニア人の住んでいる隣の部屋の友人を訪ねてくる。その友人はもはやいない。途方に暮れた女を画家は自分の部屋に迎える。かくてかれらの恋が始まる。 画家はたまたま絵が売れて金が入ったので、女と一緒にレストランにいく。ところが勘定を払う段になって財布がないことに気づく。電車のなかですられてしまったのだ。フィンランドもそうだが、フランスも気が抜けないようである。画家は、取り調べの警察官によって、不法滞在のとがで強制送還される。しかししばらくして再びフランスに入国する。そのうえで、女との恋を成就させたいと思う。だが、女は末期がんで、死期が迫っていた。三人は手分けして金を作り、女の入院費用にあてる。その女は、みなに看取られながら死んでいく。そのシーンになぜか、日本の歌謡曲「雪の降る街を」が流される。歌い方からして、フィンランド人が歌っているようである。 |
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