壺齋散人の 映画探検 |
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イギリスのスパイを主人公とするジェームズ・ボンド・シリーズは、1962年にショーン・コネリーを主役にして映画化されて以来、実に長い期間人気を集めてきた。ボンド役も次々と入れ替わり、総勢6人になる。小生は学生時代にショーン・コネリー主役の007シリーズを見て、わくわくしたものだ。なんといってもコネリーはかっこいいし、頭もよく、男があこがれるのは不思議ではない。そこで小生はコネリーをまねて、グレーのスーツとアタッシュケースといったいでたちで勤め先に通ったものだ。そんな小生を職場の同僚は「岡本理研」のセールスマンのようだといってからかった。 |
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ショーン・コネリーがボンドを演じる作品は全部で6本ある。そのうち5本目まで小生は鑑賞した。6本目の「ダイアモンドは永遠に」もそのうち機会があったら見たいと思っている。ここではとりあえず、鑑賞できた5本の作品について、小生なりのレビューを紹介したいと思う。 このシリーズに共通する枠組は、スペクターと呼ばれる陰謀組織に、イギリスの諜報機関M16が立ち向かい、007の暗号コードを付与されたスパイ、ジェームズ・ボンドが大活躍するという設定である。ボンドはある種のスーパーマンであり、どんな困難も解決して、相手を出し抜く。相手は、作品ごとに手を変え品を変えて陰謀をめぐらす。その陰謀とは、当時政治的・軍事的対立を強めていた米ソ両国を戦争に導くことであった。米ソの対立がテーマになっているところに、このシリーズの歴史的な背景を感じさせる。 007という暗号コードは、00という共通ナンバーの一つで、この共通ナンバーを持つスパイは殺人御免の特権を持っている。そこで007もこの特権をフルに活用して、次々と敵を殺害するのである。なんとも物騒な設定ではある。イギリスは世界を股にかけた植民地主義国家であり、その統治方式には殺人を含めた暴力が深く組み込まれていた。ジェームズ・ボンドのマッチョな活躍ぶりは、イギリスの暴力礼賛的な政治を強く反映しているわけだ。なおアメリカはイギリスの密接な同盟国であり、M16の作戦にはCIAが全面的に協力する。 ボンドの活躍を支える女性たちが常にいる。それをボンドガールという。日本人にとって特に印象深いのは、第五作目「007は二度死ぬ」でボンドガールをつとめた日本人女優だろう。若林映子と浜美枝の二人が出てくる。若林は前半でボンドの助手を演じ、浜は公判でボンドの妻を演じている。妻と言っても偽装結婚のようなものだ。ボンドには妻帯者の役は似合わないのである。 このシリーズが米ソ冷戦を反映していることはすでに述べた。その冷戦がアメリカ人をロシア嫌いにした。アメリカ人のロシア人嫌いは、冷戦が終わっても続いている。アメリカは常に敵を必要とし、ロシアが格好の標的になるということらしい。 007ドクターノオ シリーズ第一作 007/ロシアより愛をこめて スペクターとボンドの知恵比べ 007ゴールドフィンガー 金密輸組織との戦い 007サンダーボール作戦 スペクターとの原爆をめぐる攻防 007は二度死ぬ ジェームズ・ボンド・シリーズ第五作 |
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