壺齋散人の 映画探検
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007サンダーボール作戦 スペクターとの原爆をめぐる攻防



007シリーズ第四作「007サンダーボール作戦(Thunderball 1965 テレンス・ヤング監督)」は、原子爆弾をめぐる英米とスペクターの攻防を描く。NATOの爆撃機がスペクターによって乗っ取られ、積載している原子爆弾二個について1億ポンドの身代金支払いを求められる。支払わなければ、米英の二つの大都市に落とすと脅迫する。それに対して、イギリスのM16とアメリカのCIAが共同して対抗するという内容だ。

1960年代半ばは、米ソの間で核をめぐる競争が深刻化していた。この映画は、ソ連をスペクターに見立て、その悪から西側の世界を守るというような、倒錯した観点から作られている。

舞台はカリブ海のバハマ。バハマはコロンブスが上陸してサンサルバドール島と名付けられ、その後17世紀にイギリスによって植民地化される。いまでも英国王を君主とした国家である。だから多くの英国人が気楽にやってくる。ジェームズ・ボンドもここで休暇を楽しんでいるところを、ロンドンに呼び出される。00の他のメンバーもすべて呼ばれ、それぞれ任務を授けられる。原爆を積んだ爆撃機をつきとめて、原爆を回収すると言う任務だ。一週間で回収できなければ、スペクターの要求を呑むほかはない。ボンドは、バハマ諸島を担当することになる。

バハマにはたまたまスペクターのナンバーツーが滞在していた。ボンドは、それの愛人ドミノに接近してなんとか情報をとろうとする。ドミノはなかなか手ごわい相手だったが、ボンドは色気をフルに使って篭絡にかかる。それは成功したように見えた。バハマの海底に沈められた爆撃機の機影を発見するのだ。

最後は、爆撃機をめぐる英米機関とスペクターの闘いだ。海を舞台にして闘い合う。海にはサメが泳いでいる。ここはヘミングウェーの小説「老人と海」の舞台でもあるのだ。

この映画の中のボンドガールは、ドミノを演じたクローディーヌ・オージェ。黒みがかった赤毛の女なのだが、ほかにも同じような容姿の女がでてきて、なかなか区別できない。そのドミノを相手にしては、ボンドといえども思うようにはならない。さんざん苦労させられるのである。決め手は、ドミノの兄がスペクターに殺されたこと。それを知らされたドミノは、スペクターへの復讐を決意し、ボンドに協力する気持ちになるのである。




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