壺齋散人の 映画探検
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トップ・ハット(Top Hat):フレッド・アステアのミュージカル



フレッド・アステアは、1930年代のハリウッド・ミュージカルを代表するスターである。彼の真骨頂は軽快なステップダンスに合わせて歌を歌うことで、そのけれんみのない演技は多くの人々に愛された。1935年の作品「トップ・ハット(Top Hat)」はその代表作である。相手役のジンジャー・ロジャースとは、これが四作目になり、この二人の息のあった演技が見ものである。

筋書きは、この手のミュージカルに共通して、ごく単純なものだ。アメリカのダンサーが海外で女に一目惚れし、彼女を全力を挙げてゲットするというものだ。この映画の場合には、アステアはロンドンで出会ったジンジャーに一目惚れする。二人は急速に接近するが、アステアが自分の友人の夫と勘違いしたジンジャーがヴェニスに移動し、あまつさえアステアへのあてつけに好きでもない男と結婚してしまう。

そんな彼女をアステアは必死になって追いかける。その結果彼女の誤解を解いた上、自分がいかに彼女を愛しているかをわかってもらえる。しかして彼女の結婚は偽の牧師によるもので無効だとわかり、ジンジャーはその偽の結婚を解消してめでたくアステアと結ばれるというものだ。

前半はロンドンが舞台で、後半はヴェニスが舞台だ。ヴェニスは運河や町の様子が情緒豊かに表現され、なかなか見どころがある。

全体がコメディタッチに作られており、観客は理屈なしに楽しめる。映画の中で歌われた曲は、いまでも歌い継がれている者が多く、スタンダードナンバーの宝庫ともなっている。とくに『Isn't This a Lovely Day?』や『頬よせて』は有名なナンバーだ。

二人で歌う場面と、それぞれ別々に歌う場面とがあって、どれも楽しめる。『頬よせて』などは題名からして二人で歌うとわかるが、「ピッコリーノ」はジンジャーが独りで歌っており、これはこれで楽しい。

なお、アステアはこの時36歳だったが、年の割には髪が後退している。もっとも彼の場合には、年をとってもこれ以上禿げあがることはなかったのだが。いずれにせよ、禿げてなお色気を失わないというのは立派なことだ。




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