壺齋散人の 映画探検
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スター誕生(A Star Is Born)



「スター誕生(A Star Is Born)」は、落ち目のスターと新しくスターになっていく男女の恋をテーマにしたものだ。これはハリウッド好みのテーマらしく、同じ原作で三度も映画化されている。そのほか、先年オスカーを受賞したフランス映画「アーチスト」も同じようなテーマだった。ハリウッドがいかに気に入っているかわかろうというものだ。

1920年代にブロードウェーで人気をとったミュージカルがもとになっている。そこでは映画俳優たちの世代交代がテーマになっており、映画化されたものも、二作目までは映画界を背景にしていたものだが、三作目は音楽界を背景にとっている。スーパースターの男性歌手と無名の歌手がひょんなことから出会い、行動をともにするなかで、女性歌手が次第に人気歌手になっていくのと反比例するように、男性歌手のほうは零落していき、最後には交通事故を起こして死んでしまうというような筋書きだ。

面白いのは、男性歌手の零落が、外在的な理由からではなく、その男の意思の結果として描かれていることだ。この男は自分の意思で歌手としての自分のステータスを捨てたあげく、自分から死を選んだというように描かれている。

その男性歌手をクリス・クリストファーが演じているが、これがひげを生やした精悍なイメージをふりまいている。しかし外見に反して心は弱い。その心の弱さが彼を自滅させたというふうに伝わってくる。

一方相手方の女性歌手を演じたバーブラ・ストライザンドは、女シラノというべき巨大な鼻が特徴だが、容姿は別にして、声量は抜群である。彼女はまた、容姿の不器量さを補って余りあるほど演技がうまく、自滅していく男を何とかして支えようとするその姿が観客の共感を誘う。

この映画は一応ミュージカルということになっているが、普通のミュージカルとはかなり違う作りだ。普通のミュージカルのように、歌と物語が一体化しているわけではなく、物語の進行の合間に、歌が差し込まれるといった具合になっている。その歌の内容も、物語の内容とはほとんど関わりがない。要するに歌う場面が多い映画というようなものである。




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