壺齋散人の 映画探検
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アジアの映画:作品の解説と批評


アジアといっても、東は日本から西はトルコまで非常に広い。そのアジアの映画を取り上げるにあたっては、このサイトでは、日本は無論、台湾を含む中国を別に柱建てしてあるので、韓国から東南アジアからインドを経てトルコに至るまでの各国の映画を取り上げることにしたい。それでもかなり多彩な観を呈している。東南アジアと中東では、一部イスラム文化を共有する国もあるが、非常に異なった文化圏が隣り合わせになっている。それを反映して、映画文化にも多くの相違が認められる。

この圏域内でもっとも映画作りが盛んなのはインドである。いまやインドの映画製作本数は、アメリカに肩をならべるほどで、ハリウッド映画に比較してボリウッド映画と称されている。その多くはミュージカル形式の娯楽的なものだが、中にはインドの文化を如実に感じさせるシリアスな作品もある。インド映画を代表する監督といえば、サタジット・レイであり、かれは「オプー三部作」と言われるインドの庶民の暮らしに題材をとった作品をはじめ、多くの薫り高い映画を作って世界中から賞賛を浴びた。

次に映画作りが盛んなのは韓国だろう。韓国は今や世界有数の経済大国となり、その経済力を背景にして映画作りも盛んになった。韓国映画が世界的に注目されるのは21世紀に入ってからだが、それ以前の20世紀においては、パンソリなど韓国の伝統演劇を母体にした映画が盛んにつくられていた。パンソリとは、語り物の一種で、日本の説経節などの語り物に似ているところがある。

意外に映画作りが盛んなのがイランである。イランは長い間、国際的に孤立して経済的に振るわなかったのだが、なぜか映画作りは盛んだった。イランの映画を代表する作家はアッバス・キアロスタミである。キアロスタミは、イランの子供たちをモチーフにした映画が非常に高く評価されたのだが、イラン国内ではあきたらず、外国にも積極的に出かけて行って、外国資本で映画作りをおこなった。日本でも映画を作っている。

イランの西では、中近東諸国特にイスラエルとトルコが映画作りの盛んな国である。中近東には、パレスチナ問題をめぐって深い対立の歴史があるので、いきおいその対立が映画の主要なモチーフとなる。ユダヤ人の国家イスラエルの映画には、イスラエル政府のやり方に批判的なものもあって、なかなか面白いところがある。一方トルコなどは、反米感情が盛んと見えて、アメリカに対する強い批判意識を感じさせる映画もある。

アジアの中で東南アジアの諸国は、近年になって映画作りが盛んになった。だが、ベトナムの作家トラン・アン・ユンの映画は、早くから日本人に知られていた。かれは日本に来て、村上春樹の小説「ノルウェイの森」を映画化している。

こんな具合に、一口にアジア映画と言っても、文化を異にする多くの国が含まれ、国ごとに多彩な映画が作られているというのが実態である。ここではそんなアジア諸国の映画のうち、代表的な作品を取り上げ、鑑賞のうえ適宜解説・批評を加えたい。


韓国の映画


イム・グォンテク「風の丘を越えて」:パンソリの旅芸人

イム・グォンテク「春香伝」:パンソリの人気演目を映画化


イム・グォンテク「酔画仙」:李氏朝鮮末期に活躍した画家張承業の生涯

イ・チャンドン「オアシス」:生涯を持つ男女の恋

キム・ギドク「サマリア」:女子高校生の売春

キム・ギドク「うつせみ」:やどかり生活する男女

キム・ギドク「嘆きのピエタ」:消費者金融のあくどさク

パク・チャヌク「オールド・ボーイ」:記憶をコントロールされる

ホン・サンス「ハハハ」:韓国人の日常生活をコメディタッチで描く

韓国映画「はちどり」:思春期の少女

韓国映画「国際市場で逢いましょう」:韓国現代史を描く

韓国映画「長沙里9.15」:朝鮮戦争の一こまを描く

韓国映画「KCIA南山の部長たち」:朴正煕暗殺を描く

ユン・ジョンビョン「許されざるもの」:韓国の兵役


韓国映画「ブラザーフッド」:朝鮮戦争を描く

韓国映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」:光州事件を描く

韓国映画「息もできない」:やくざ者と不良女子高生

韓国映画「7番房の奇跡」:知的障害者の冤罪

韓国映画「インサイダーズ/内部者たち」:暴力礼賛的なアクション映画

韓国映画「新感染ファイナル・エクスプレス」:ゾンビ・ホラー

韓国映画「愛の旋律」


ポン・ジュノの映画

ポン・ジュノ「ほえる犬は噛まない」:格差社会の出世競争

ポン・ジュノ「殺人の追憶」:警察の無能を描く

ポン・ジュノ「グエムル-漢江の怪物」:韓国版ゴジラ

ポン・ジュノ「母なる証明」:息子の冤罪に立ち向かう母親

ポン・ジュノ「スノーピアサー」:地球の破滅を生き残った人類

ポン・ジュノ「パラサイト 半地下の家族」:他人の家に寄生する家族


東南アジアの映画

フィリピン映画「立ち去った女」:冤罪で服役した女の復讐

フィリピン映画「ローサは密告された」:麻薬の蔓延と権力の腐敗


ブルランテ・メンドーサ「キナタイ マニラ・アンダーグラウンド」:警察の腐敗


ベトナム映画「青いパパイアの香り」:貧しい少女が幸福をつかむ


トラン・アン・ユン「夏至」:現代ベトナム人の生き方

トラン・アン・ユン「ノルウェイの森」:村上春樹の小説を映画化

カンボジア映画「シアター・プノンペン」:クメール・ルージュによる虐殺が残した傷

タイ映画「ブンミおじさんの森」:仏教の輪廻転生思想


インドの映画

インド映画「ムトゥ踊るマハラジャ」:歌と踊りと勧善懲悪

インド映画「ボンベイ」:インド風ロメオとジュリエット

インド映画「モンスーン・ウェディング」:典型的なボリウッド映画

インド映画「ガンジスに還る」:インド人の宗教意識と死生観

サタジット・レイの映画

サタジット・レイの映画「大地のうた」:ベンガル地方に暮らす家族の生き方

サタジット・レイの映画「大樹のうた」:インド人の夫婦関係

サタジット・レイの映画「女神」:ベンガル地方の宗教的因習

サタジット・レイの映画「ビッグ・シティ」:インドの大都市に暮らすサラリーマン一家

サタジット・レイの映画「チャルラータ」:イギリス統治下のインド

サタジット・レイの映画「森の中の昼と夜」:インドの若者たち

サタジット・レイの映画「対抗者」:インドの若者の求職活動

サタジット・レイの映画「ミドルマン」:インドのビジネスマン


イランの映画

モフセン・マフマルドフ「カンダハール」:アフガン戦争直前の状況

モフセン・マフマルドフ「独裁者とその孫」:ある独裁者の没落


アスガル・ファルハディ「別離」:イラン人の信仰

アスガル・ファルハディ「彼女が消えた浜辺」:浜辺に集う若者たち

アスガル・ファルハディ「ある過去の行方」:イラン人の夫とフランス人の妻の離婚

アスガル・ファルハディ「セールスマン」:夫婦関係の危機

ジャファル・パナヒ「チャドルと生きる」:現代イランンの女性ジャファル・パナヒ

ジャファル・パナヒ「オフサイド・ガールズ」:サッカーに熱狂する少女たち

ジャファル・パナヒ「人生タクシー」:タクシー・ドライバーから見たイラン社会

モハメド・アリ・タレビ「柳と風」:少年の友情と使命感

アボルファズル・ジャリリ「ダンス・オブ・ダスト」:イランの民衆の過酷な生活アボルファズル・ジャリリ

アボルファズル・ジャリリ「ハーフェズ ペルシャの詩」:コーランの暗唱

バフマン・コマディ「ペルシャ猫を誰も知らない」:現代イランの若者たち

アッバス・キアロスタミ

アッバス・キアロスタミ「トラベラー」:サッカーに熱狂する少年

アッバス・キアロスタミ「友だちのうちはどこ」:少年のひたむきさ

アッバス・キアロスタミ「ホームワーク」:イランの少年たち

アッバス・キアロスタミ「そして人生はつづく」:イラン大地震傷跡

アッバス・キアロスタミ「オリーブの林をぬけて」:新婚夫婦の日常

アッバス・キアロスタミ「桜桃の味」:自殺志望者の気持ち

アッバス・キアロスタミ「風が吹くまま」:イランの農村地帯の日常

アッバス・キアロスタミ「トスカーナの贋作」:偽の夫婦を演じる中年男女

アッバス・キアロスタミ「ライク・サムワン・イン・ラヴ」:日本らしさを感じさせない日本映画


中東諸国の映画

パレスチナ映画「オマールの壁」:分離壁を隔てたパレスチナパレスチナ人同士の交流

ハニ・アブ・アサド「パラダイス・ナウ」:パレスチナ人の自爆攻撃


クロエの祈り:パレスチナに同情的なカナダ人女性

パレスチナ映画「ガザの美容室」:ガザに生きる人々

イスラエル映画「レバノン」:イスラエルのレバノン侵攻を描く

スティーヴン・スピルバーグ「ミュンヘン」:黒い九月へのイスラエルの報復ス

イスラエル映画「約束の旅路」:エチオピアのユダヤ人

イスラエル映画「シリアの花嫁」:ゴラン高原を超えた愛

イスラエル映画「キプールの記憶」:第四次中東戦争の一齣

イスラエル映画「ケドマ 戦禍の起源」:イスラエル建国の一齣

アモス・ギタイ「フリー・ゾーン 明日が見える場所」:ユダヤ人とアラブ人の関係

アモス・ギタイ「撤退」:ユダヤ人のガザ撤退

アモス・ギタイ「幻の薔薇」:第二次大戦後のフランス人の生き方タイ

レバノン映画「判決、ふたつの希望」:レバノンにおけるパレスチナ問題

サウジアラビア映画「少女は自転車にのって」:タブーに挑戦する少女


トルコの映画

砂漠のライオン:イタリアのリビア侵略

トルコ映画「イラクー狼の谷」:シリア戦争の一齣

トルコ映画「少女ヘジャル」 クルド人の少女とトルコ人の老人

トルコ映画「卵」 トルコ人の家族・故郷

トルコ映画「ミルク」 大人になる過程の少年

トルコ映画「蜂蜜」:父と子の絆

トルコ映画「スリー・モンキーズ」 犯罪の身代わり

トルコ映画「昔々、アナトリアで」 トルコ的犯罪捜査

トルコ映画「雪の轍」 トルコ人の家族関係

トルコ映画「ブレイブ・ロード名もなき英雄」 朝鮮戦争に参戦したトルコ人

トルコ映画「わが名はキケロ ナチス最悪のスパイ」



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