壺齋散人の 映画探検
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韓国映画:名作と話題作


韓国の映画が世界水準に達するのは21世紀になってからだ。2019年にはポン・ジュノの映画「パラサイト」がカンヌでパルム・ドールをとり、アカデミー賞の作品賞にも輝いた。同年のベルリン映画祭では、キム・ボラの「はちどり」が高い評価を受け、世界中の映画賞を受賞。韓国映画は一躍世界の映画界をリードするまでに発展した。それには、韓国の国力が21世紀にはいって一層高まったという事情も働いていた。

20世紀の韓国映画は、前半は日本による統治が映画界の健全な発展をさまたげ、見るべきほどのものを生んでいない。日本による統治を脱した後は、国が南北に分裂したことや、国力がまだ弱かったことなどもあり、あまりパッとしなかった。そんな時代の韓国で人気を集めた映画と言えば、娯楽に特化した作品を除けば、時代劇的な要素の強い作品だった。

韓国には「パンソリ」とい語り物の伝統がある。日本の説教節とか浪曲に似たものだが、それをテーマにした作品が、20世紀の後半には多く作られた。また、日本で「韓流ドラマ」として親しまれているような恋愛主体の大衆劇も人気を集めた。

21世紀にはいるとすぐに、イ・チャンドンの「オアシス」、キム・ギドクの「ウツセミ」、同監督の「サマリア」、パク・チャヌクの「オールド・ボーイ」などが三大映画祭を始め世界各地の映画祭で高い評価を受け、韓国映画の勢いを世界に感じさせた。そうした韓国映画の勢いを代表するのがポン・ジュノである。ポン・ジュノの作品には、同時代を批判的に見る社会的な視線を強く感じさせるものが多いが、そうした傾向は他の監督にも共有されているようだ。

朝鮮半島は日本の敗戦後南北に分裂したので、その分裂を象徴する朝鮮戦争とか、国内の反政府運動への強烈な弾圧をテーマとする作品が数多く作られ、中には名作と称するにふさわしい作品もある。南北分断をテーマにしたものとしては「国際市場であいましょう」や「長沙里9.15」などがあり、民衆運動への弾圧をテーマにしたものとしては「タクシー運転手 約束は海を越えて」などがある。

ここではそんな韓国映画の中から、名作や話題作など代表的な作品を取りあげ、鑑賞の上適宜解説・批評を加えたい。


イム・グォンテク「風の丘を越えて」:パンソリの旅芸人

イム・グォンテク「春香伝」:パンソリの人気演目を映画化


イム・グォンテク「酔画仙」:李氏朝鮮末期に活躍した画家張承業の生涯


イ・チャンドン「オアシス」:障害を持つ男女の恋

キム・ギドク「サマリア」:女子高校生の売春

キム・ギドク「うつせみ」:やどかり生活する男女

キム・ギドク「嘆きのピエタ」:消費者金融のあくどさク

パク・チャヌク「オールド・ボーイ」:記憶をコントロールされる

ホン・サンス「ハハハ」:韓国人の日常生活をコメディタッチで描く

韓国映画「はちどり」:思春期の少女


韓国映画「国際市場で逢いましょう」:韓国現代史を描く

韓国映画「長沙里9.15」:朝鮮戦争の一こまを描く

韓国映画「KCIA南山の部長たち」:朴正煕暗殺を描く

ユン・ジョンビョン「許されざるもの」:韓国の兵役


韓国映画「ブラザーフッド」:朝鮮戦争を描く

韓国映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」:光州事件を描く

韓国映画「息もできない」:やくざ者と不良女子高生

韓国映画「7番房の奇跡」:知的障害者の冤罪

韓国映画「インサイダーズ/内部者たち」:暴力礼賛的なアクション映画

韓国映画「新感染ファイナル・エクスプレス」:ゾンビ・ホラー

韓国映画「愛の旋律」


ポン・ジュノの映画

ポン・ジュノ「ほえる犬は噛まない」:格差社会の出世競争

ポン・ジュノ「殺人の追憶」:警察の無能を描く

ポン・ジュノ「グエムル-漢江の怪物」:韓国版ゴジラ

ポン・ジュノ「母なる証明」:息子の冤罪に立ち向かう母親

ポン・ジュノ「スノーピアサー」:地球の破滅を生き残った人類

ポン・ジュノ「パラサイト 半地下の家族」:他人の家に寄生する家族



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