壺齋散人の 映画探検
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草ぶきの学校:1962年の中国



1999年の中国映画「草ぶきの学校(草房子)」は、中国の農村部における子どもたちの暮らしぶりを情緒たっぷりに描いたものだ。この手の映画は日本人も好きで、戦前の名作「風の中の子どもたち」や戦後井上陽水の音楽共々ヒットした「少年時代」などが思い浮かぶ。この中国映画は、中国人の目から自分たち中国人の子ども時代をなつかしい気持を込めて描いたものだ。

舞台は中国農村部にある小さな小学校。油麻地小学という名のその小学校は、茅葺屋根の粗末な建物で、学校の敷地内には校長の家族が暮らしている。その校長の息子桑桑を中心にして、子どもたちの触れ合いが生き生きと描かれる。祖母と二人暮らしで、地元の学校を避けてわざわざ遠い距離を歩いて通ってくる女子、自転車を持っているのが自慢の男子、はげ頭にコンプレックスを持っている男子などさまざまな個性を持った子どもたちが出てきて、さまざまな騒動を巻き起こす。その騒動を通じて、子どもたちは生きることの意味を考え、次第に成長していく、というのがおおよその筋書きである。

草ぶきの屋根というから、恐らく江南の暖かい地方だと思う。川も出てくるから、江南の水郷地帯なのだろう。詳しくはわからない。わかるのは、ここに暮らしている人達が、非常に貧しいということだ。時代は1962年に設定されているから、中国はまだ全国的に貧しかった。江南といえば、中国の中でも比較的住みやすい地域だが、そこでも人々はかつがつの暮らしをしている。その貧しさの中でも、自分をそんなに不幸と思わないのは、国全体が貧しいからだ。人は等しからざるを憂えるのであって、乏しきを憂えるわけではないということが、この映画からは伝わってくる。

まだ文化大革命は始まっていないが、人々の革命への熱気は十分感じられる。1960年前後にはいわゆる大躍進運動が盛んになり、共産党が人々を革命に動員した。その余韻が、この映画の中の世界にも感じられるということだろう。監督は徐耿。どういう経歴の人か、詳しくはわからない。




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