壺齋散人の 映画探検 |
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台湾映画の興隆は、台湾の経済的発展の落し子のようなものである。台湾は、日本による植民地支配から脱した後、蒋介石の国民党政権によって長い間統治され、経済的にも停滞が続いたし、文化的にも低迷した状態が続いた。ところが、1980年代の半ば以降経済的な発展を見せるようになり、また、李登輝政権による民主化が進むにつれ、文化的にも活発化し、その影響が映画にも及んで、台湾は国際的に評価されるような映画を作るようになった。 1980年代から90年代にかけて、台湾ニューウェーブといわれるような、映画の興隆時代を迎えた。その担い手となったのは、侯孝賢、楊徳昌、李安といった映画作家たちだった。 侯孝賢と楊徳昌には、台湾人としてのこだわりが強く認められる。特に 侯孝賢は大陸に対する台湾の自主性にこだわっている。かれは、大陸への批判意識が強い一方、日本への親近感を示している。代表作の「非情城市」は、大陸からやってきた蒋介石一派への嫌悪と日本への好意的な姿勢を見せた作品だ。 そうした日本への親近感は、楊徳昌にも感じられる。もっとも楊徳昌は、政治的なメッセージ性を抑え、台湾人たちの生き様を淡々と描き上げることに注力している。それでも「ヤンヤン夏の思い出」などは、日本的な生活様式へのあこがれのような盛り込んであり、大陸の文化より西欧的な日本文化を愛好する傾向を見せている点で、 侯孝賢の「冬冬の夏休み」に通じるところがある。 一方、李安には、台湾らしさへのこだわりはあまりない。彼の場合には、台湾を映画作りの拠点とするのではなく、さまざまな国に招かれて、台湾とは全く関係のないストーリーを描いている。つまり、雇われ監督に徹しているところがある。 しかし、日本にはあまり関わっていない。 台湾映画は、21世紀にはいってやや停滞を迎えたが、近年再び往時のような勢いを見せているということである。蔡明亮ようなユニークな映画作新しい世代の台湾映画を主導している。 ここではそんな台湾映画の名作を取り上げ、鑑賞しながら適宜解説・批評を加えたい。 冬冬の夏休み:侯孝賢 悲情城市:侯孝賢 好男好女:侯孝賢の台湾近現代史シリーズ 珈琲時光:侯孝賢による日本映画 黒衣の刺客:侯孝賢 ウェディング・バンケット:李安 いつか晴れた日に:李安 グリーン・デスティニー:李安 ブロークバック・マウンテン:李安 ラスト・コーション:李安 ライフ・オブ・パイ:李安 台北ストーリー:楊徳昌(エドワード・ヤン) ヤンヤン 夏の思い出:楊徳昌 蔡明亮「楽日」 蔡明亮「西瓜」:水不足の台湾社会をそれなりに愉しむ 蔡明亮「黒い眼のオペラ」:マレーシアの貧民たち |
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