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リラの門:ルネ・クレールの映画



ルネ・クレールは1947年に「沈黙は金」でフランス映画界に復帰して以降、「悪魔の美しさ」、「夜ごとの美女」、「夜の騎士道」という具合に一連の傑作群を作ったのだったが、「リラの門(Porte des Lilas)」(1957年)は、その最後を飾る作品である。しかし前三作と比較すると、多少劣るのは否定できない。

テーマは、パリの下町に暮す庶民の生きざま。タイトルになった「リラの門」は、実際に同名の地下鉄駅が、パリ北東の下町地区にあるというので、東京でいえば、墨東地区といったイメージなのだろう。パリは内陸都市だから、東京のように海はない。

警察に追われる凶悪犯を、仲のよい二人組がかくまう様子を描いている。かれらが何故凶悪犯をかくまう気持ちになったのか。それは明示的には伝わってこないが、おそらくパリっ子の反権力意識をかれらに代表させているのだろう。

それはいいとして、二人組と親密に付き合っていた若い女までが、この殺人犯に惚れてしまう。しかし殺人犯は人間の屑みたいな男で、若い女性の恋心を弄んだ挙句、金をむしり取って一人で高飛びするつもりでいる。そんな殺人犯にさすがのパリっ子も怒りを覚え、ついには相手の持っていた銃で殺してしまうのだ。

雰囲気としては、初期のパリものの再現といったところだ。恋する男女がゆがんだ関係に描かれ、男同士の友情が前面に出ているところが、この映画のミソだろう。主人公のパリっ子をピエール・ブラッスールが演じ、その親友の音楽家をジョルジュ・ブラッサンスが演じている。そのブラッサンスは映画全体の音楽監督も兼任していて、自分の作曲した曲を披露している。なかなか聞かせる曲である。




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