壺齋散人の 映画探検 |
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ジュリアン・デュヴィヴィエ(Julien Duvivier)は非常に器用な映画監督で、活劇、音楽劇、喜劇、宗教劇と様々なタイプの映画を作り分けている。しかも(トーキー時代の初期においては特に)多産であった。それだけ人気があったということだ。 その人気は祖国フランスよりも日本での方が高かった。日本人は戦前から戦後にかけて、このフランス人の映画に熱狂したものだ。「望郷」は特に人気が高く、この映画の雰囲気を歌った演歌「カスバの女」が、映画公開後何十年もたっていたというのに大ヒットしたくらいだ。なぜジュリアン・デュヴィヴィエの映画が日本人の心をわしづかみにしたのか、それはよくわからない。たぶん、過剰なセンチメンタルさが日本人に受けたのだろう。 |
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大戦前の代表作としてはほかに「地の果てをゆく」がある。これは北アフリカにおけるフランス軍の外人部隊をテーマにした作品だ。この頃外人部隊にした映画が多く作られた。ジョン・スタンバーグの「モロッコ」やジャック・フェデーの「外人部隊」が有名だが、ジュリアン・デュヴィヴィエのこの映画も特に優れた作品に数えられる。 一方「パリの空の下に」のような情緒たっぷりな映画も作っている。これはパリの庶民の生活ぶりを描いたもので、ルネ・クレールの「パリ祭」や「パリの屋根の下」と同じような系列の映画である。戦後に作った「わが青春のマリアンヌ」なども、筋書きよりも情緒を売りものにした作品であり、やはり日本人の人気を集めた。なお、「パリの空の下に」の主題歌は、日本人のもっとも好きなシャンソン・ナンバーである。 ここでは、そんなジュリアン・デュヴィヴィエの代表作を何点か選んで取り上げ、鑑賞のうえ適宜解説・批評を加えたい。 にんじん:ジュリアン・デュヴィヴィエ ジャン・ルナールの小説を映画化 白き処女地(Maria Chapdelaine) カナダの雪原の暮らし ゴルゴタの丘(Golgotha) キリストの死を描く 地の果てを行く(La bandera) 北フランスの外人部隊を描く 望郷(Pépé le Moko) 逃走するフランス男の望郷の念 パリの空の下セーヌは流れる パリの暮らしを情緒豊かに描く わが青春のマリアンヌ:ジュリアン・デュヴィヴィエ |
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