壺齋散人の 映画探検
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わが青春のマリアンヌ:ジュリアン・デュヴィヴィエ



ジュリアン・デュヴィヴィエの1955年の映画「わが青春のマリアンヌ(Marianne de ma Jeunesse)」は、フランス人好みのおとぎ話をイメージ化した作品。日本でも大変な評判になった。小生も青年時代に見たが、結構興奮させられたことを覚えている。デュヴィヴィエはフランスよりも日本でのほうで高い人気を誇ったのであるが、この映画は中でもかれの代表作として迎えられた。

山の中の少年院が舞台だ。そこに母親に入れられた少年が、皆から幽霊屋敷と呼ばれている付近の城のなかで、美しい女性と出会い、恋に陥るというような内容だ。その女性は実在せず、幽霊屋敷の名のとおり、実は幽霊だったという結末になっている。少年がその女性に激しく惹かれたのは、その女性が母親に瓜二つであり、母親に対する思慕を彼女に投影したためだったというふうに伝わってくる。

少年は幽霊に夢中になる一方で、かれを恋する乙女にはつらく当たる。乙女はかれを追って山の中に迷い込み、牡鹿たちのよって踏み殺されてしまうのである。

そのほか、少年院に入所している少年たちとの交流とか、少年院での日常の生活ぶりが描かれる。日本の養護施設とは雰囲気がだいぶ違うというふうに伝わってくる。日本の養護施設は非常に暗いイメージだが、フランスの少年院はかならずしもそうではない。少年たちには一定の自由が許されており、それなりに毎日を楽しんでいる。そんな少年たちの一人、マンフレートの視線から映画は描かれる。マンフレートは、主人公の少年を君と呼び、その君が次第に心を病んでいくさまを第三者の目から見ているのである。一方、幽霊の女も、主人公を思慕する少女も、少年をアルジャンタンと呼ぶ。かれにはヴァンサンという名前があるのだが、アルゼンチンからやってきたので、そう呼ばれるのである。

幽霊女が危機に陥ったときに、ヴァンサンが助けに入る。その時に幽霊女は、「メルシ・アルジャンタン」という。それがいかにも自然な感じなのである。ふつうは恋人をそんなふうには呼ばないはずだ。にもかかわらず彼女の呼びかけには真心が感じられるのだ。




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