壺齋散人の 映画探検
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ジャン・ルノワールの映画:作品の解説と批評


ジャン・ルノワール(Jean Renoir)は、フランスではルネ・クレールと並ぶ偉大な映画監督として敬愛されているが、日本では印象派の有名な画家オーギュスト・ルノワールの息子として、また「大いなる幻影」の監督として知られてきた。「大いなる幻影」は、反戦と人間愛をテーマにしたシリアスな作品であり、フランス兵士とドイツ人兵士との人間的な触れ合いを描いている。そのきわめてヒューマンな作風が日本人の心をとらえたのだと思う。

ジャン・ルノワールは1920年代から活躍した人で、サイレント映画の傑作として、エミール・ゾラの小説「ナナ」を映画化したものがある。ルノワールは、自然主義的なリアルな文学が好きと見えて、ゾラの小説ではのちに「獣人」も映画化している。

トーキー映画の出世作は、ゴーリキーの戯曲「どん底」(1936)を映画化した作品。原作の雰囲気をよく出していた。1939年の「ゲームの規則」は、第二次大戦前夜のフランスにおける上流階級の無気力な生活を強烈に風刺した作品で、大いなる幻影と並んで、ルノワールの社会的な視線を感じさせるものである。

第二次世界大戦が勃発するとフランスを逃れ、ハリウッドに亡命した。だがハリウッドの制作システムになじめず、思うような映画が作れなかった。戦後はインドを舞台とした映画「河」を作り、父親ゆずりの映像の美しさが評価された。

その後フランスにもどったが、戦前のような輝きある作品を作ることができず、「フレンチ・カンカン」のような娯楽的な作品でお茶を濁した。晩年はアメリカで過ごし、自伝を書きながら余生を送った。映画人としては、1930年代に活躍し、それで燃え尽きたといった印象が強い。同じくフランスを代表する映画監督の双璧といわれながら、ルネ・クレールが戦後もフランス映画のチャンピオンとして活躍し続けたのとは対照的である。

ここではそんなジャン・ルノワールの代表的な作品を取り上げ、鑑賞のうえ適宜解説・批評を加えたい。



どん底(Les bas-fonds)
 マクシム・ゴーリキーの戯曲を映画化

大いなる幻影(La grande illusion) フランス兵とドイツ兵の交流

獣人(La bete humaine) エミール・ゾラの小説を映画化

ゲームの規則(La règle du jeu) フランスの上流階級を描く

河(The River) インド人の生活を描く


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