壺齋散人の 映画探検
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男と女:クロード・ルルーシュ



クロード・ルルーシュといえば、1968年のグルノーブル冬季オリンピック記録映画「白い恋人たち」の監督として有名だ。その二年前に作った「男と女(Un homme et une femme)」は、かれの出世作となった作品である。

タイトルからわかるように、男と女の出会いをテーマにした映画だ。男と女が出会うとどういうことになるか。それをわかりやすく描いている。なにしろ、セックスが好きなフランス人の男女とあっては、行き着く先はセックス以外にはない。実際この映画の中の男女もセックスすることになるのだが、ちょっとしたトラウマが働いて素直にセックスを楽しめないといった、わさびを利かせてある。

夫を失ったばかりの女(アヌーク・エメ)と、妻を失ったばかりの男(ジャン・ルイ・トランティニャン)の出会いである。かれらの出会いを媒介したのは、かれらの子どもたちだった。かれらはそれぞれの子どもをドーヴィルの寄宿生小学校に預けていて、週末に面会に来る。そんな面会の合間に二人は知り合うのである。知り合ったかれらはすぐに打ち解けあう。何しろ二人とも、健康な男女で、したがってセックス盛りの年齢なのだ。

そんなわけで、二人は急速に接近するのだが、あまり簡単にセックスに至るのでは、豚や鶏と異なるところはない。やはり人間らしさがあってよいとばかりに、話の筋としてはあまり意義を感じないようなことが、挿話としてさしはさまれる。女は映画の技術者で、夫はスタントマンだったが、その夫が事故で死んでしまい、いまはその喪失感に悩んでいる。しかし女盛りで男日照りに陥り、やや欲求不満の状態にあるといった具合だ。

男のほうはレーサーで、最近重大事故で危篤状態に陥り、それに絶望した妻が自殺したということになっている。夫が事故を起したくらいで自殺する妻がいるとも思われないが、映画はそんなことにはこだわらない。とにかく、男は目下独身なのだ。

そんな独身同士の二人が、ついにベッドを共にする。ところが女のほうが燃えない。男に抱かれていると、死んだ夫の面影が浮かんできて、燃えることができないのだ。そんな女に向って男が不審そうな眼を向けると、夫のせいなのと女は言い、一人でパリ行きの列車に乗り込むのだ。失望した男は、どうしてこうなってしまったのか、自分のやり方がまずかったのかとしきりに反省する。その結果、もっとうまくやろうと決心し、パリの駅(おそらくモンパルナス駅)に先回りして、女を迎えるのだ。そんな男に女は、はじめて心を許して抱きあうのである。

というわけで、あまりぱっとしない設定の映画である。ただ、この映画にはほぼ全編にわたって音楽が流されるのだが、その音楽がよいというので、非常に話題になった。とくに、ダバダバダというスキャットを伴った曲は、日本でも大ヒットした。




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