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抵抗:ロベール・ブレッソン



ロベール・ブレッソンの1956年の映画「抵抗( Un condamné à mort s'est échappé )」は、ドイツ軍によって監獄に収容されたフランスの軍人が、脱獄を試みる様子を描いたもの。対独レジスタンスの一コマといってよい。原題に「死刑囚が逃げた」とあるように、主人公のフランス兵はナチスによって死刑を宣告され、絶望的な状況を生き残るために、脱獄を選ばざるを得なかたったのである。

実在の人物のノートをもとにしたとある。主人公は軍人なのだから、それも軍事行動を理由に拘束されたのだから、本来は捕虜として処遇するのが国際法の原則であるが、ナチスのことだから、その原則を無視して、反ナチ分子と同じ政治犯として扱ったわけである。しかも通常の軍事行動は処罰の対象とならないはずなのに、ナチスはこのフランス軍人を、ドイツに敵対したという理由で死刑宣告する。それもまともな司法手続きはなしに、担当者の事務的な尋問だけで極刑を課すわけである。

映画は、主人公のフランス軍人の脱獄へ向けての執念をひたすら描き出すことに焦点を当てる。その軍人を、収監されているフランス人たちが、陰ながら応援する。独力ではなかなか進まないところを、そうした人々の助力を得ながら、次第に脱獄体制を整えていく。そのうちに、処刑の期限が迫ってくる。その期限の直前にかれは脱獄に成功するのだ。その際に、一人の若者を道連れにする。その若者はフランス人と名乗るのだが、ドイツの軍服を着ている。その若者が、脱獄を決意したばかりの主人公の独房に入れられてくる。おかしいと思った主人公は、その若者を殺して脱獄しようと思ったりもするが、思い直して一緒に連れていくことにする。その判断は正しかった。若者は、主人公を裏切ることはなく、むしろ大いに役立ってくれた。こうして独力では困難だった脱獄に成功するのである。

映画は、脱獄に成功した二人が、未明のリヨンの街のなかに出ていくところを映し出しながら終わる。脱獄前の緊張と、脱獄後の解放感とがドラマチックに対比されたすぐれた場面である。




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