壺齋散人の 映画探検 |
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エリック・ロメール(Eric Rohmer)は、ヌーヴェルヴァーグ運動に連なる映画監督である。ヌーヴェルヴァーグ運動の牙城といわれた雑誌「カイエ・デュ・シネマ」の創刊にかかわり、1957年から1963年まで六年間編集長をつとめた。映画評論家としての活動が中心だったが、やがてみずから監督業に乗り出す。第一作「獅子座」は、ヌーヴェルヴァーグ映画の傑作として定評のあるトリュフォーの「大人はわかってくれない」と同じ1959年につくったものだが、事情があって、公開は1962年になった。1960年には、ゴダールが「勝手にしやがれ」を公開しており、ヌーヴェルヴァーグの作家としては、かれはやや出遅れた印象がつきまとっている。 |
ヌーヴェルヴァーグの作家に共通した傾向として、屋外ロケを重視するということがあるが、ロメールもその傾向を共有している。かれの映画の大部分は、パリの街角を背景にして、若い男女の恋愛とか、女性の生き方を軽妙なタッチで描いたものである。 かれの映画監督としての存在感が高まるのは、「飛行士の妻」(1981)に始まる「喜劇と格言劇」シリーズによってである。これは「友達の恋人」(1987)まで六作が作られたが、いずれも屋外ロケを中心に組み立てながら、若い男女の恋愛や、女性の生き方を描いている。この一連の映画を見ると、フランス人の若い男女がいかに性的に解放されているかがわかる。 性的に解放されているということは、みだらということではない、というメッセージが、これらの作品には込められている。かつてルイス・ブニュエルは、フランス人の性的開放性を、不道徳な行為として描いたが、それはスペイン人の僻目であり、フランス人のロメールとしては、性的に開放されていることは道徳的であることと矛盾しないのだ。 エリック・ロメールというと、ドイツ風に響くが、かれは生粋のフランス人である。エリック・ロメールはハンドルネームであり、実名はジャン=マリ・モリス・シェレールである。 「喜劇と格言」シリーズ以後にも、同じようは傾向の映画を造り続け、2006年の作品「我が至上の愛」が遺作となった。その時ロメールは86歳になっていた。 ここではそんなエリック・ロメールの代表作を取り上げ、鑑賞しながら適宜解説・批評を加えたい。 エリック・ロメール「飛行士の妻」 フランス人の自由な生き方 エリック・ロメール「美しき結婚」 若いフランス女性の結婚願望 エリック・ロメール「海辺のポーリーヌ」 十五歳の少女の一夏の体験 エリック・ロメール「満月の夜」 若いフランス女の奔放な生き方 エリック・ロメール「緑の光線」 若い女性の疎外感 エリック・ロメール「友達の恋人」 男にもてない女の恋人探し エリック・ロメール「レネットとミラベル 四つの冒険」 二人の若い女性のささやかな体験 エリック・ロメール「木と市長と文化会館」 フランスの地方政治における党派対立 エリック・ロメール「パリのランデブー」 若い男女の恋の戯れ |
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