壺齋散人の 映画探検 |
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エリック・ロメールの1994年の映画「パリのランデブー(Les rendez-vous de Paris)」は、若い男女の恋の戯れを描いた作品。三組の互いに関係のない男女が、パリの町を舞台に繰り広げるランデブーの様子を描く。三組が登場し、それぞれが違う場面を演じるので、オムニバス構成になっている。オムニバス構成はロメールの好きなスタイルで、「レネットとミラベル」や「木と市長と文化会館」にも用いられていたが、それらは同じ人物が主人公になっていた。それに対してこの映画は、まったく違った人物たちの相互に関係のない場面をオムニバス風につなげたものである。 第一話は、別の女と二股をかけている男(オラス)を懲らしめる若い女(エステル)の話。彼女がそのことを知ったのは、自分にナンパをしかけてきた男から。フランス人は、相手にパートナーがいようといまいと、ところかまわずナンパするようである。ともあれ、事実かどうか調べるために彼女は策を弄する。市場でナンパをしかけてきた別の男に、喫茶店で会うことを約束するのである。それは、その喫茶店には恋人が来ている可能性が高いと考えたからである。ところがそのナンパ男に財布をすられていたことがわかり、そのすられた財布をある女性が届けてくれる。その女性と一緒に件の喫茶店に行ってみると、果たしてその女性がオラスの彼女だったというわけである。憤慨したエステルが去ったあとに、市場で会った男がやってくる。ということは、その男がすった可能性は低いということだ。 第二話は、パリの町の公園をはしごして歩く男女の話。男はさえない教師で、女には別に同棲している恋人がいる。女がさえない教師と付き合っているのは、男があまり相手にしてくれないためだ。とりあえずは暇つぶしの相手と考えていたのだが、そのうちセックスしてもよいと思うようになる。どうせするなら、格好をつけたいというわけで、旅行者になった気分でホテルに泊まろうということになる。そこで二人が旅行者気分でホテルに入ろうとしたところ、恋人が他の女を連れてホテルに入るのが見えた。怒った女はホテルを去る。その女に教師が結婚をせまると、人の苦境につけこむのはフェアじゃないといって断る、というような内容だ。 第三話は、画家の若い男が、亭主持ちの若い女にぞっこんになる話。その画家は、スウェーデンからきたという若い女を、ピカソ美術館に案内するのだが、そのさいにたまたま若い女を見て、ひとめぼれする。画家はなんとかその女を口説き落とそうとするが、女の尻はそう軽くはなく、野心は砕かれる、というような内容。 三話とも、いかにもフランスらしい若い男女の恋の駆け引きを軽快なタッチで描いている。軽快なあまり、あまり印象には残らぬかもしれぬ。 |
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