壺齋散人の 映画探検
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アルフレッド・ヒッチコック:映画の鑑賞と批評


アルフレッド・ヒッチコック(Alfred Hitchcock 1899-1980)は、世界映画史上最高のミステリー・サスペンスの巨匠と言われる。ヒッチコックの映画は、それ自体が傑作揃いであるばかりでなく、世界のミステリー映画に甚大な影響を及ぼした。しかも、その評価はミステリーの巨匠というのみでなく、映画の巨匠という栄誉にも浴している。ヒッチコックの映画「めまい」は、世界映画史上最高傑作との評価を、多くの映画評論家によって受けている。これは、オーソン・ウェルズの「市民ケーン」が、半世紀にわたって享受してきた栄誉を、見事に奪った快挙だった。

ヒッチコックは、イギリスで生まれイギリスで映画作りを始めた。監督デビュー作は1925年の「快楽の園」である。サイレント時代からサスペンス映画が得意であったが、初期の代表作「三十九夜」は、イギリス時代のヒッチコックの代表作となった。これは犯罪者に間違われた男が、手錠でつながれた女とともに逃亡するという意外な設定が受けた。続く「バルカン超特急」は、当時の大国間の諜報戦を描いたもので、第二次大戦の将来を予想させるものであった。

1939年にハリウッドに渡ったヒッチコックは、翌40年にアメリカでの第一作「レベッカ」を作った。これはイギリスで構想を固めた作品で、俳優もイギリス人のローレンス・オリヴィエを起用したが、アメリカでの評判はよく、アカデミー作品賞をとった。アメリカでの第二作「海外特派員」は、戦争プロパガンダ映画であり、当時参戦していなかったアメリカ人に、イギリスに味方してドイツと戦うように呼び掛けたものだった。もっとも、アメリカが参戦するのは、真珠湾で日本軍に奇襲をかけられたのがきっかけである。

戦時中も、ヒッチコックはほぼ毎年作品を発表し、その勢いは戦後も続いた。1950年代はヒッチコックのもっとも脂が乗った時代で、「見知らぬ乗客」、「ダイアルMを回せ」、「めまい」、「北北西に進路をとれ」といった、サスペンスの傑作と呼ばれる作品を次々と生んだ。

1960年の「サイコ」は、「めまい」とならぶヒッチコックの代表作で、精神障害者の恐ろしさをテーマにしたものだったが、これには精神障害者に対する差別意識を煽るといった批判もあり、ポレミカルな作品ではある。続く「鳥」は、カモメの大集団に襲撃される恐ろしさを描いたもので、これは「サイコ」における「精神障害者」の位置を、禽獣で置き換えたというような側面がある。とはいえこの二作品は、サスペンス映画の醍醐味にあふれており、世界中から歓迎された。この二つの作品を作ったことで、インスピレーションが尽きたというように、以後ヒッチコックの映画は精彩を欠くようになったと批評されている。

とはいえ、ヒッチコックは映画史上もっとも大きな成功と影響力を享受した映画作家ということができよう。ここではそんなヒッチコックの代表作をとりあげて、鑑賞しながら適宜批評を加えたい。



三十九夜(The 39 Steps)

バルカン超特急(The lady vanishes)
レベッカ(Rebecca)
海外特派員(Foreign Correspondent)
断崖(Suspicion)
迷走迷路(Saboteur)
疑惑の影(Shadow of a doubt)
白い恐怖( Spellbound )
汚名( Notorious )
ロープ( Rope )
見知らぬ乗客( Strangers on a Train )
ダイアルMを廻せ(Dial M for Murder)
裏窓(Rear Window)
知りすぎていた男(The Man Who Knew Too Much)
めまい(Vertgo)
北北西に進路を取れ(North by NorthWest)
サイコ(Psycho)
鳥(The Birds)



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