壺齋散人の 映画探検
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ベルナルド・ベルトルッチ:映画の鑑賞と解説


ベルナルド・ベルトルッチは、イタリア映画最後の巨匠と言われる。「ラスト・エンペラー」のような巨大スペクタクル映画は、イタリア映画最後のサービスといってよいし、それ以前に作った「1900年」などは五時間を超える長編であり、今後追随するイタリア映画が現れるとはとても思えない。そういう意味においても、ベルトルッチはイタリア映画最後の巨匠というべき存在だった。だった、と過去形で言うのはほかでもない、この文章が書かれた時点(2020年1月)では、ベルトルッチはすでに故人だったのである。

ベルトルッチは、パルマの裕福な家に生まれ、若くしてコミュニストになった。そんなことから彼の映画は、政治的なメッセージを含んだものから出発した。「革命前夜」はイタリア共産党の活動をテーマにしたものだし、「暗殺の森」はファシストの暴力への批判を盛り込んだものだ。

だがベルトルッチは、いつまでも政治的ではなかった。映画に政治を持ち込むことは、第二次大戦後しばらくの間は支持されたが、やがて観客の反発を受けるようになった。観客を動員できる映画を作るためには、なんといってもエンタテイメントの要素が欠かせない。それに気づいたベルトルッチは、エンタテイメント性の強い映画を作るようになっていったのである。

まず、「暗殺の森」に続いて「ラスト・タンゴ・イン・パリ」を作った。これは男女の間の肛門セックスをテーマにしたものだが、当時はゲイ同士の肛門セックスさえタブー視されていたところに、男女間の肛門セックスは道徳を破壊する行為だと受け取られていた。だからこの映画は大きなスキャンダルを巻き起こした。そのスキャンダルが映画のヒットをもたらしたという効果があったのだ。だがベルトリッチ自身は、危険な映画人として、そのごしばらくのあいだ干されるという憂き目にあったのだった。

ベルトルッチが映画製作の現場に本格的に復帰したのは、「ラストタンゴ」から十五年後の1987年のことで、その年に「ラスト・エンペラー」で世界中の評判をとった。これは壮大なスペクタクル映画であり、今後このようなスケールの大きな映画を作ることは、色々な意味でむつかしいのではないかと言われたものだ。ベルトルッチはその後、「シェルタリング・スカイ」、「リトルブッダ」といった、オリエンタル情緒豊かな映画を作り、「オリエンタル三部作」などと称されることとなった。

21世紀に入って作った映画としては、「孤独な天使たち」が評判をとった。この映画は、21世紀の社会に生きる子どもたちの孤独を描いたもので、社会の鋭い分断を反映したものだ。そういう意味で、ベルトルッチのスタート地点とも言うべき、政治的・社会的視点を感じさせるものだ。

ここではそんなベルトルッチの代表作を取り上げて、鑑賞のかたわら適宜解説・批評を加えたい。



革命前夜:ベルナルド・ベルトルッチ
暗殺の森:ベルナルド・ベルトルッチ
ラスト・タンゴ・イン・パリ:ベルナルド・ベルトルッチ
ラスト・エンペラー:ベルナルド・ベルトルッチ
シェルタリング・スカイ:ベルナルド・ベルトルッチ
リトル・ブッダ:ベルナルド・ベルトルッチ
シャンドライの恋:ベルナルド・ベルトルッチ
孤独な天使たち:ベルナルド・ベルトルッチ


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