壺齋散人の 映画探検
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革命前夜:ベルナルド・ベルトルッチ



ベルナルド・ベルトルッチ1964年の映画「革命前夜」は、ベルトルッチの自伝的な色彩の強い作品だといわれている。北イタリアのパルマを舞台に、コミュニズムを信奉するブルジョワ(イタリア語でボルゲーゼ)の一青年の悩みのようなものをテーマにしているのだが、その青年がベルトリッチの分身のようなものだというのだ。たしかにベルトルッチはパルマの出身だし、ブルジョワ出のコミュニストでもあった。同時にこの映画は、スタンダールの名作「パルムの僧院」をある程度下敷きにしているという。スタンダールのほうは、すでに忘れてしまったが、主人公の名がファブリツィオ(原作ではファブリス)であったり、その叔母の名がジーナだったりするのは共通している。

そのファブリツィオは、ブルジョワながらコミュニストとして革命を夢見ている。かれにはチェーザレという共産党員の先輩がいる。一方人生に悩んでいる青年がいて、ファブリツィオは彼に革命精神を叩きこむことで立ち直らせようとするが、青年はそんなファブリツィオの期待に反して自殺してしまう。意気阻喪するファブリツィオの前に、ミラノから美しい女ジーナがやってくる。母親の妹、つまり叔母だ。ジーナは欲求不満の中年女で、これが若いファブリスを誘惑して、セックスの喜びを教えてやる。映画はこの二人の近親相姦に近いただれた関係を描くことからなっているようなものなのである。反道徳的な男女関係ということでは、フランスやスペインが思い浮かぶが、イタリア人もそれにおとらず反道徳的ということらしい。

いくらイタリア人でも、あまりに反道徳的なことは体裁が悪いと見えて、結局彼らの不道徳な恋愛は長続きしない。ファブリツィオはクレリアという若い女性と結婚することになるのだ。出し抜かれた叔母は、自分のしていることが反道徳的な手前、ファブリスが他の女にとられてしまうことを、指をくわえて見ているほかはない。

というわけで、革命とかコミュミストがテーマだと言っている割には、政治的な雰囲気は全く感じさせず、不道徳な男女関係を描いたピンク映画といってよいようなところがある。




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