壺齋散人の 映画探検
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ドリーマーズ:ベルナルド・ベルトルッチ



ベルナルド・ベルトルッチには、変態ポルノへの愛好が指摘できるようだ。1972年の映画「ラスト・タンゴ・イン・パリ」は明らかに変態性欲をテーマにしたものだったし、2003年に作った「ドリーマーズ」もそうした部類のものだ。「ラストタンゴ」は男女間の肛門セックスをテーマにしていたが、この「ドリーマーズ」は姉弟間の近親相姦をテーマにしている。

姉弟間の近親相姦は、それ自体でスキャンダルだが、この映画では、その二人に第三の男が加わり、その三者の間で不可思議な関係が成立する。かれらはセックスを、単に性欲の解放としてとらえるのではなく、ある種の遊びとして楽しむ。セックスはかれらにとってゲームなのだ。

ベルトルッチはイタリア人だが、なぜかこの映画では、フランスのパリに舞台を設定し、フランス人の姉弟とアメリカ人の男を登場させている。セックス好きという点では、イタリア人もフランス人も大した差はないので、なにもフランス人を担ぎ出すまでのことはないのだが、どうもベルトルッチには妙な愛国心があって、こうした不道徳なテーマは、外国人のこととして済ませたかったようだ。「ラストタンゴ」もパリを舞台として、パリジェンヌとアメリカ男とのスキャンダルとし、イタリア人は介入させていない。

基本的にはポルノ映画であるから、筋などあってもなくてもよいのだろうが、それではあまりにも不愛想と思ってか、一応、1968年の揺れるパリを舞台にして、セックスと政治を絡ませてある。しかし、政治について何か具体的なメッセージがあるかといえば、そういうわけでもない。いかにも付焼刃的だ。だから観客はこの映画を、もっぱらポルノ映画として見たほうがすっきりするであろう。




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