壺齋散人の 映画探検
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フェデリコ・フェリーニ:映画の解説と批評


フェデリコ・フェリーニは、ネオレアリズモ風の映画から出発した。彼は脚本家としてスタートしたのだが、ロベルト・ロッセリーニの「無防備都市」や「戦火の彼方」に協力し、イタリア・ネオレアリズモの主要な担い手となったばかりか、自分自身が監督した「道」も、ネオレアリズモの傑作となった。この映画は、映画史上最も悲しい映画といってよいのだが、その悲しさは、当時イタリアで生きていた人々の悲しい境遇をそのまま反映していることから、イタリア・ネオレアリズモの象徴的な作品ともなった。

その後、「カビリアの夜」などレアリズム的な作品を引き続き手掛けたが、1960年の「甘い生活」を転機にして、作風を大きく変化させた。この映画は、従来の映画の常識を破るようなところがあり、「反映画」などと評されもしたが、以後フェデリコ・フェリーニは、映画の常識に挑戦するような作品を次々と作っていく。

1963年の「8 1/2」は、映画の常識を全く無視したような、実に破天荒な映画だった。この映画にはストーリーらしきものがないし、画面も独特だ。それが不連続に展開する。観客は眼前で展開しているシーンが何を物語っているのか、自分で再構成する必要にせまられる。でなければ、意味のない場面が意味もなく、しかも不連続につながっていくわけだから、何を見ているのかまったくわからなくなるだろう。フェデリコ・フィリーニは、こういうタイプの映画を通じて何を訴えたかったのか。

1968年の「サテリコン」は、ローマ時代の怪奇譚をもとにしたものだが、サチュロスの徒を意味するサテリコンという言葉にふさわしく、好色な無頼漢たちが繰り広げる荒唐無稽なことどもをピカレスク風に描いたものだ。この映画にみなぎる猥雑さは、それまでのどんなジャンルの映画にも見られなかったもので、フェリーニの独創性を感じさせるものだ。こうしたタイプの映画は、後にパゾリーニによって、もっと奔放な形で花開く。

「フェリーニのローマ」は、肩の凝らない娯楽映画で、映画を見ながらローマの街の魅力を堪能させてくれる作品だ。フェリーニには、旺盛なサービス精神があって、それが「サテリコン」のような破天荒な映画を作る原動力にもなっていたわけだが、それがこの作品では、映画をしてローマの観光案内を兼ねさせたというわけである。

こんな具合にフェリーニの映画には、シリアスな社会的な視線と、猥雑な快楽主義とが共存しているといったところがある。一人の映画監督がそういう相反した傾向を体現しているというのは、珍しいことと言えよう。ここではそんなフェデリコ・フェリーニの代表的な作品をとりあげて、鑑賞の上適宜解説・批評を加えたい。




道(La strada):フェデリコ・フェリーニ

カビリアの夜(Le notti di Cabiria)
甘い生活(La dolce vita):フェデリコ・フェリーニ
8 1/2:フェデリコ・フェリーニ
サテリコン(Satyricon):フェデリコ・フェリーニ
フェリーニのローマ:フェデリコ・フェリーニ


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