壺齋散人の 映画探検
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イタリア映画「アルジェの戦い」:アルジェリア独立戦争を描く


1966年の映画「アルジェの戦い(La Battaglia Di Algeri)」は、アルジェリアの対フランス独立戦争の一コマを描いた作品。アルジェリア人たちがフランスの植民地支配に抵抗して起こしたこの戦争を、どういうわけか、イタリア人のジャーナリストたるジッロ・コンテポルロが映画化した。当然のことのように、フランスによる暴力的な植民地支配を徹底的に批判する視点をとっている。そういう視点からの映画は、フランス人には期待できないだろう。この映画がヴェネツィアの映画祭で上演されたとき、フランス人は、フランソワ・トリュフォー一人を残して全員抗議のデモンストレーションを行ったそうである。

アルジェリア戦争は、1954年に始まり、1962年にドゴールがアルジェリアの独立を認めたことで収束した。映画は、戦争の始まった1954年から1957年までの、初期の三年間の攻防を描いている。アルジェリア側は、FLNが音頭をとって対仏抵抗運動をはじめたが、フランス側の圧倒的な武力を前に苦戦を強いられる。そのアルジェリア人たちの絶望的な戦いぶりをドキュメンタリータッチで描くのである。

フランス人たちは、アルジェリア人たちを鼠と呼んで、人間扱いをしない。ところが第三者の眼には、フランスからやってきた鼠のほうがたちが悪くうつる。フランスの鼠たちは、自分たちの利権を守るためならなんでも厭わない。アルジェリアの鼠を徹底的に駆除しようとする。一方、フランスに従順なアルジェリア人には、フランスこそお前たちの祖国だと甘言を吐く。だが、その甘言に乗せられるものはほとんどいない。アルジェリアの鼠たちはいよいよ勢いに乗り、フランスからやってきた鼠たちをてこずらせるのだ。

植民地支配というのは、どこでもこんなものだと感じさせられる。植民地の支配者は、原住民を土人と呼んでさげすみ、反抗する者は容赦なく殺す。それは日本のかつての植民地支配でも同様で、日本は膨大な数の中国人たちを殺したものだ。


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