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宮本武蔵 二刀流開眼:内田吐夢



内田吐夢の宮本武蔵シリーズ第三作は「二刀流開眼」。これは前半で柳生石舟斎との対決、後半で吉岡清十郎との対決を描く。タイトルにもある二刀流開眼とは、柳生の高弟たちと戦っている間に、思わず大小を構えたことがきっかけというふうになっている。稲垣のシリーズものとは、重なるところがほとんどない。

武蔵は小僧をともなって奈良の柳生の里にやってくる。そこには先駆けて吉岡道場の連中も手合わせを申し込みに来ていたが、当方では目下他流試合を辞退しているといってとりあわない。武蔵は一応客分として迎えられ、酒などを振る舞われる。そうしているうちに、柳生の高弟たちと戦うハメになる。その際に武蔵は、大小をかざして二刀流の構えをするのである。

結局武蔵は、お通の笛を聞いたりして心が乱れ、その場を逃れ去る。石舟斎との対決はあきらめて、かねて約束していた吉岡清十郎との対決をするために、京都へ向かうのだ。

京都では、お甲と朱美が吉岡を客にしていて、朱美は吉岡清十郎から強姦されたりする。その朱美はふとしたことから、佐々木小次郎の世話になる。その小次郎を高倉健が演じている。この場では武蔵と手合わせすることはないが、五条の橋で初めて出会った二人は、やがて対決する運命を抱え込んでいるわけだ。その五条の橋にはお通もやってくるが、武蔵が朱美と一緒にいるのを見て、遠慮してしまうのだ。

ハイライトは武蔵と吉岡清十郎の対決。この対決で武蔵は清十郎の腕をへし折る。そこが稲垣のシリーズとは違う所。稲垣のシリーズでは、武蔵は最初清十郎の弟伝七郎と戦うことになっているが、こちらでは、伝七郎ではなく、清十郎といきなり戦うのだ。原作を読んでいない筆者には、どちらが原作通りなのか、判断できない。

いずれにせよ、清十郎に勝った武蔵は、おれは名門を倒したと言って自信を深めるのである。そんな具合でこの映画でも、武蔵とお通はすれちがったままだ。




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