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てなもんやコネクション:山本正志



往昔、「てなもんや三度笠」というテレビ番組があって、小生もファンのひとりだったが、山本正志の映画「てなもんやコネクション」はそれを意識しているのだろうか。喜劇仕立ての楽しい映画である。「てなもんや三度笠」は、ただのドタバタ喜劇ではなく、ひねったギャグが売り物だったが、山本のこの映画もかなりひねった感じに仕上がっている。

香港と日本をまたにかけてあばれまくる一組の男女の活躍がテーマだ。香港の貧民窟に暮らしている貧しい中国人の男が、なにかの景品としてあたった海外旅行クーポンで、日本に遊びにやってくる。日本ではあやしげな旅行会社が待ち構えていて、そこの女性従業員が男を接待する。だが予算が極度に切り詰められていて、夜飯は屋台のラーメン、宿泊はカプセルホテルといった具合だ。そのカプセルホテルで、アダルトビデオを見て興奮した男は、またぐらをまさぐりながらセンズリを始めるが、へんな男に闖入されて欲求不満に終わるといった具合だ。

移動手段は軽四輪で、それに置いていた荷物が車上荒らしの被害にあってしまう。しかし、京都の八坂神社の前で広げている女占い師に聞いたところ、荷物は丑寅の方向にあるといわれる。丑寅の方向に向かっていき、その途中で一軒の飲み屋に入ったところ、そこに盗まれた荷物に含まれていたシャツを着た一人の中年女が入って来る。占いは見事にあたったわけだ。

どういうわけかその中年女も加わって、三人で東京へ移動し、ディズニーランドにいったつもりで浅草の花屋敷にいく。その後三人は、一気に香港へと舞い戻り、そこでまた奇想天外な活躍をするのである。その活躍というのは、地上げ屋を出し抜くというもので、男の家族たちと力を合わせて、地上げ屋から金をだまし取り、百万長者になるという、かなり荒唐無稽な話である。

その香港は、中国返還の前夜にあたっていて、地上げのプロジェクトは香港の景気の良さを反映した動きなのであった。実際中国は、その頃を境に爆発的な経済発展をしたわけで、香港に限らず国中が巨大開発の波に洗われていた。もっとも山本にはそうした社会的な視点はほとんどなく、ただひたすらギャグを飛ばして、観客を笑わせることに意を注いでいるように感じられる。

香港には、経済利権を狙った日本人も進出していることになっていて、地上げの現場を指揮しているのはヤザキという日本人なのである。だがヤザキは悪逆な人間ではなく、かえってこっぴどく騙されるような、いわば善人なのである。そんなわけでこの映画は、勧善懲悪の物語にはなっていない。頭のすこしいかれた人間たちが繰り広げる祝祭的なドタバタ劇といった風情である。




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