壺齋散人の 映画探検
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敦煌:佐藤淳弥



1988年の日中合作映画「敦煌」は、井上靖の同名の小説を映画化した作品。小説の内容をかなり忠実に再現したということらしい。そこで原作がどのような意図で書かれたかが気になるところだ。これは一応歴史小説ということになっているが、登場人物の何人かが実在した人物だということ以外、歴史を思わせることろはない。ほとんどは井上の創作によるものらしい。井上ともあろうものが、なぜそんな中途半端な小説を書いたのか。ただのエンタメ小説なので、やかましいことはいわない、という手もあるが、井上は一応純文学の大家と言われているので、そういい加減なこともできないと思うのだが。

映画は、佐藤浩一演じる宋の若者趙行徳 と、西夏の漢人傭兵隊長朱王礼(西田敏行)の友情を中心にして、それにウィグルの王女ツルピアと趙行徳の恋を絡ませてある。その背景として、十一世紀の中国西域地方の民族間紛争がある。当時西夏は勃興しつつある勢力で、近隣の諸部族を圧倒する一方、宋への侵攻を画策していた。

趙行徳 は朱王礼とともにツルピアを愛するのだが、そのツルピアが西夏の実力者李元昊に辱められて自殺すると、二人で李元昊に復讐することを誓う。しかし強大な軍事力をもった李元昊にはかなわず、朱王礼は戦死し、趙行徳 は敦煌にあったさまざまな文化遺産を敦煌の洞窟の奥に隠す。それから数百年後、その洞窟が発掘され、膨大な文化遺産が発見されたというようなメッセージが流れる。

映画の筋書きは他愛ない部類に入ると思うが、戦闘シーンがなかなか見ものだ。戦闘は騎馬戦が基本なので、馬にまたがったまま戦う姿が迫力満点。この撮影にはかなり金がかかったということらしい。当時としては82億円という破格の制作費がかかったが、収益はその半分にとどまった。制作には大映以下多くのプロデューサーがかかわっているが、これくらい金がかかると、一社では対応がむつかしいのだろう。




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