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スーパーの女:伊丹十三



「スーパーの女」は、スーパーマーケットの経営をテーマにした、伊丹映画らしいコメディ・タッチの作品である。津川雅彦演じるさえない男の経営する落ち目のスーパーを、宮本信子演じる幼馴染の女が立て直しに向けて協力し、ついに店を繁盛させるという人情物語である。

このスーパーはもともと左前であったが、ライバル店が近所にできたことで、深刻な経営危機に陥る。そのライバル店は、もとこのスーパーに勤めていた男が始めたもので、その男はこのスーパーを買収することで、商圏における独占的な地位を狙っている。そうすれば、競争がなくなり、価格も意のままにできる。

宮本信子はとりあえずレジ担当としてスーパーの状況を把握しにかかる。その結果、商品の管理に問題があることがわかる。野菜にしても、生鮮食品にしても、新鮮さに欠け、店の従業員でさえ、買わないようなしろものだ。そのうえ、値段の設定も中途半端だ。新鮮でもなく、値段も安くなければ、購買意欲をそそらないのは当然だ。

というわけで、新鮮な商品を安い価格で提供することが、スーパーとして成功するための条件だと、宮本は津川を説得し、経営の改革を提言する。しかし、店の中は古手のベテランたちが取り仕切っていて、そのベテランたちが、宮本の方針に反発する。津川は宮本を副店長にして、皆の協力を得させようとするが、それでも改革はなかなか進まない。

一方、ライバル店のほうでは、スーパーの店長をたらしこんで、店員ごとスーパーを買収しようとはかる。その買収話にスーパーのオーナーが乗りそうになるが、津川がそこを説得し、なんとか延命に成功する。

そうこうするうち、ライバル側の嫌がらせはエスカレートし、スーパーの食品庫から肉類をごっそり盗み出そうとする。それに気づいた宮本信子は、かれらの動きを阻もうとするが、かえって冷凍車の中に監禁されて、危機一髪の状況に陥る。救出が遅れれば凍ってしまうだろう。その危機一髪を、幼馴染の津川が救い、二人は絆を深めながら、スーパーの再建にまい進する。といった具合の筋書きで、大した特徴はない映画だが、それなりにうまく作られていて、観客をあきさせないようにはなっている。

津川雅彦は、「あげまん」に登場して以来、「ミンボーの女」、「大病人」に引き続きの登場となり、伊丹作品の常連といってよい。決してうまい俳優ではないが、そのとぼけた顔つきなど、独特の雰囲気が伊丹作品にあっているのだろう。




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