壺齋散人の 映画探検 |
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大林宜彦の1993年の映画「はるか、ノスタルジー」は、中年男と未成年の少女との変態的な恋を描いた作品である。変態的というのは、未成年の少女が、いかにも好色そうな中年男から「やらせてくれ」といわれて、簡単に裸になるからである。性の解放が進んだ時代とは言え、分別の定まらない少女が、いとも簡単に、それもすけべそうな中年男にやらせるというのが、いかにも無軌道であり、変態というふうに映るのだ。 大林には、はめをはずす傾向があったが、この映画は、はめをはずすなどという生易しいものではなく、悪ふざけといってよい。こんな映画を見せられと、大林も年をとって色ボケしたのではないかと思わせられる。 自称小説家が、少年時代を過ごした小樽の町を、何十年かぶりにたずね、そこで一人の少女と知り合いになる。その少女は、かれが少年時代に愛した少女に瓜二つなのだった。そこでかれはその少女を求めるようになる。髭面のいい親爺が、高校生くらいの未熟な少女に性的興奮を覚えるのだ。そこへ、かれの少年時代の幻が現れ、かれの行為を厳しく批判する。この少女をもっと人間らしく扱ったらどうかと言って、未来の身分を責めるのだ。責められた自分は、反省するどころか、少女を温泉旅館に連れ込んで、やらせてくれとせまる。それを少女は受入れ、この中年男に操をささげるというのだ。 実にバカバカしい筋書きである。こんな筋書きを思い浮かべるというのは、想像力が枯渇しているせいであろう。大林は、子どもを純真なものとして描いている間は、愛嬌のある映画を作っているといえるが、子どもの世界に性的なものを持ち込むと、この映画のように、ぶち壊しになる。 |
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