壺齋散人の 映画探検
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鈴木清順の映画世界


鈴木清順は独特の映像美で高い評価を受けている。とりわけ「ツィゴイネルワイゼン」、「陽炎座」、「夢二」は大正三部作と言われ、世界的な評価が高い。我々日本人が見ても、ノスタルジックな雰囲気を感じていい気持ちになるのだから、外国人が見たらいっそうファンタスティックに見えるのではないか。鈴木清順は風貌も特異で、仙人のような雰囲気を醸し出しているので、彼のファンには、その風貌も含めてトータルに心酔する者が多いらしい。日本映画の一時代を代表する映画監督と言ってよい。

映画監督としてのデビューは1956年で、当初しばらくの間は、B級の娯楽映画ばかりを作っていて、いまひとつパッとしなかったが、1966年に作った「東京流れ者」で一皮むけた。これは日活のスター渡哲也を主演に起用したやくざ映画だが、なぜか多くの日本人に愛された。渡の醸し出す雰囲気が、やくざとは言いながら、日本の伝統的な農村的青年像を感じさせたことがきいたのだと思う。そんなこともあって小生などは、このような映画を、イタリアのやくざ映画マカロニウェスタンをもじって、田吾作ウェスタンと呼んでいる。日本の伝統的な青年像に敬意を表したつもりである。

つづけて作った「喧嘩エレジー」や「殺しの烙印」もやくざ映画で、それなりにファンから愛されたが、鈴木清順が映画作家としての名声を確立したのは、上述した「ツゴイネルワイゼン」以下の、いわゆる大正三部作といわれる作品群である。「ツィイネルワイゼン」は、大正時代のノスタルジックな世界を背景にした怪談だが、大正デモクラシーと明治以前の怪談の伝統を意外な形で結びつけたところが世間の評判となり、鈴木は一躍一流監督の仲間入りをすることとなった。

二作目の「陽炎座」も大正時代の雰囲気を背景にしたある種の怪談であり、三作目の「夢二」は大正時代の伝説的な画家竹久夢二をモチーフとしながら、やはり怪談的な雰囲気を醸しだしている。このように鈴木清順の映画の特徴は、大正時代のノスタルジックな雰囲気に、怪談の要素を組み合わせるところにある。怪談はいかにも日本的な事象であるし、また大正時代の雰囲気も日本ならではのものである。そうした日本独自の文化のようなものを組み合わせたところに、鈴木清順のユニークさがある。そのユニークさが、日本らしさという特殊なものを通じて、普遍的な人間性を描いたとして、世界中から受け入れられたのだと思う。ここではそんな鈴木清順の作品世界を鑑賞しながら、適宜批評を加えたい。



東京流れ者:鈴木清順

けんかえれじい:鈴木清順
殺しの烙印:鈴木清順
ツィゴイネルワイゼン:鈴木清順
陽炎座:鈴木清順
夢二:鈴木清順



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