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パラレルワールド:河瀬直美



河瀬直美の2017年の映画作品「パラレルワールド」は、20分たらずの小品である。筋書らしいものはない。若い男女の初恋らしいものを、情緒豊かに描いている。映画としては、大胆な試みといえる。短編小説という分野が成り立つのであれば、短編映画も成り立つだろう。それも映画独自のロジックに基づいて。そんな意欲を感じさせる作品である。

タイトルの「パラレルワールド」は、村上春樹の小説「1Q84」を連想させるが、全く関係はない。この映画は、ある男が高校生時代の過去を回想するという設定になっているが、その回想の世界が、彼にとってのパラレルワールドだと言いたいようである。

高校生の男女のうち、男子のほうは天体観察を趣味にしている。一方女子の方はダンスが好きである。その二人が近づいて、ついにはキスをするようになるが、どういうわけか男子のほうからその関係をこわしにかかる。家庭の複雑な状況がかれに青春をのびのびと謳歌することを許さないということになっている。

映画は、こわれた愛を惜しむ男子の悔悛を描きだしながら終わるのである。河瀬らしい情緒的な終わり方と言えよう。なお、「二つ目の窓」もそうだったが、この映画でも、男子より女子のほうが愛について積極的である。




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