壺齋散人の 映画探検
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どついたるねん:阪本順治



1989年の映画「どついたるねん」は、阪本順治の監督デビュー作である。阪本はこの映画を、難波のロッキーとして一部に知られていたボクサー、赤井英和をフィーチャーして作ったが、自主製作のようなもので、劇場公開のあてがなかったため、原宿に特設テントを設けて上映した。ところが口コミで評判が広がり、それがもとで劇場公開にこぎつけたという、いわくつきのものだ。この映画で阪本はユニークな映画監督として認められたし、赤井の方もタレントとして活躍する糸口をみつけた。

映画の筋書きは単純なものだ。試合中の打撃の為に意識不明の状態に陥り、そのために現役引退をせまられたボクサーが、ボクシングしか能のない身で、今度はボクサーを育てる立場になるが、指導者として無能なため思うようにいかず、むしゃくしゃしているうちに、ボクサーとしての再起を図るというもの。結局四回戦ボーイとしてやり直すのであるが、かつて自分が教えた若者に、ノックアウトされるというようなスジである。

筋書は単純だが、赤井英和の熱血演技が、観客に強い情動を巻き起こしたということだろう。なにしろ名をはせたプロボクサーだから、ボクシングのシーンには迫真力がある。それにくわえて相棒役を演じた原田芳雄が、こちらもボクサーにしておかしくないほどの肉体を披露して、赤井のスパークリングの相手をするというので、実に見ごたえのあるボクシング映画になっている。

ボクシング映画は数多く作られたが、この映画は最高傑作の部類に入る作品だろう。赤井はボクシングの演技のみでなく、たたきつけるような大阪弁もドウに入っている。その大阪の通天閣が見えるあたりが映画の舞台だ。赤井本人も難波のロッキーといわれたくらいだから、通天閣の見えるあたりで生きていたのであろう。




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