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塚本晋也「鉄男Ⅱ BODY HAMMER」:「鉄男」の続編




塚本晋也の1992年の映画「鉄男Ⅱ BODY HAMMER」は、三年前の作品「鉄男」の続編であるが、ストーリー上のつながりは全くない。こちらは、子どもを含めて三人で幸せに暮らしていた一家が謎の集団に襲撃されたあげく、父親が肉体を改造されて、鉄の固まりにされてしまうというものだ。前作の鉄男はくず鉄のスクラップといったイメージだったが、こちらは鋼鉄で覆われたマッチョなイメージで、しかも躰のあちこちから機関砲が飛び出してくるといった攻撃的なイメージに変わっている。

鉄男がもう一人の鉄男と闘うという趣向は共通している。ただ、前作では鉄男が変身する原因となったもう一人の男と一対一の対決だったのが、こちらでは、敵側が大勢の手下を従えている。したがって鉄男の戦いぶりも、いっそうスケールの大きなものとなっている。

前作では、鉄男の相手はゆきずりの人間だったということになっていたが、こちらでは、二人兄弟の兄だったということが明らかにされる。この兄弟は、父親の実験の材料にされていたのだが、その父親が母親を虐待したことに兄が怒り、父親を殺してしまう。それが弟にはショックとなって、記憶を喪失してしまうのだ。二人が成人した後に、そんな弟を兄が襲い、鉄男に変えてしまったのである。

というわけで、筋書はちょっと凝っているが、映画の見どころはあくまでも、鉄男同士の闘いである。その戦いに弟は勝ち、一家の幸せな生活を取り戻すという、ある意味他愛ない話である。とにかく、マッチョな鉄の男たちが延々と戦いあうというのが唯一の見どころといってよい。面白いのは、撮影進行のために作られたコンテ画が、画面に同時並行的に出て来ることだ。それ以外には、特に指摘すべきようなものはない。子どもがそのまま大人になったような人間たちに、面白く受け取ってもらえるのではないか。



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