壺齋散人の 映画探検
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ポーランド映画:代表作品の解説と批評


ポーランド映画は、1950年代の後半から1960年代にかけて、世界の注目を浴びるようになった。それには、有能な映画作家が次々と登場したことが働いている。アンジェイ・ワイダ、イエジー・カヴァレロヴィチ、ロマン・ポランスキーといった人たちである。ソ連圏の他の社会主義国家よりポーランド映画が早くから盛んになったのは、国内の民主化がある程度進んだせいもあると思う。

ポーランドは、第二次世界大戦では、ナチス・ドイツに占領されたし、その前にはドイツとソ連との間で、ポーランドを事実上分割領有する合意ができていた。そういう状態のもとでドイツの占領を迎え、ドイツの敗北後はソ連に実質占領された。その際に、従来の領土の範囲を大きく変更された。東半分をソ連側に組み入れられたかわりに、ドイツの東プロイセン地方を与えられたのだ。これは対独戦をめぐって、チャーチルとスターリンとの間に交わされた密約がもたらしたところである。

そういう複雑な事情があるために、ポーランド映画には、現代史を強く意識したものが多い。アンジェイ・ワイダの作品などは、ほとんどポーランド現代史に取材したものばかりだ。出世作となった「世代」はポーランドの若者たちの対ナチス・レジスタンスを描いたものだし、「地下水道」はワルシャワ蜂起をテーマにしていた。また、「灰とダイアモンド」にはソ連への反感を込めている。ソ連へのワイダの反感は、「カティンの森」にも見られる。これはポーランド軍の将校団が、スターリンによって大量虐殺された事件で、スターリンがポーランド支配を容易にするための蛮行だったといわれている。そのほかワイダは、「大理石の男」とか「連帯の男」など、社会主義への強い批判を込めた映画を作っている。

ロマン・ポランスキーは、当初は政治とは無縁の映画を作っていたが、「戦場のピアニスト」は、ナチスによるホロコーストをテーマにしたものであり、ポーランド人としては、ホロコーストの問題は避けてとおれないようである。近年公開された「ソハの地下水道」にも、ホロコーストに対する強い嫌悪感が込められていた。

そういう傾向に対して、イエジー・カヴァレロヴィチは、あまり政治に拘らない作風を貫いた。かれの代表作といえば、「夜行列車」とか「尼僧ヨアンナ」があげられるが、いずれも表立たった政治性は感じさせない。ただ、さりげない場面で、ナチの強制収容所のことが話題に出てくる程度である。

いすれにしても、ポーランド映画は、現代史の呪縛から自由ではありえない。ポーランドの現代史には、異民族によって迫害される部分と、異民族を迫害する部分とが共存する。迫害する立場から描いた映画には、ロマ人の厳しい境遇をテーマにした「パプーシャの黒い瞳」がある。ここではそんなポーランド映画のうちから代表的な作品を取り上げ、鑑賞しながら適宜解説・批評を加えたい。



水の中のナイフ:ロマン・ポランスキーの映画
袋小路:ロマン・ポランスキーの映画
戦場のピアニスト:ロマン・ポランスキ
夜行列車:イェジー・カヴァレロヴィチ
ソハの地下水道:アニエスカ・ホランドの映画
パプーシャの黒い瞳:ジプシーを描く

アンジェイ・ワイダの映画
世代:アンジェイ・ワイダのレジスタンス映画
地下水道:アンジェイ・ワイダ
灰とダイアモンド:アンジェイ・ワイダの映画
大理石の男:アンジェイ・ワイダの映画
カティンの森:アンジェイ・ワイダ
ワレサ 連帯の男:アンジェイ・ワイダの映画
残像:アンジェイ・ワイダ


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