壺齋散人の 映画探検
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スペインの映画:代表作の解説と批評
スペイン映画は、広大なスペイン語圏を市場にしていることもあって、20世紀の早い時期から繁栄していたようだが、メジャーな位置付けではなかった。そのため、スペイン人の異才ルイス・ブニュエルなどは、フランス映画界に活動の場を求め、今日フランス映画の巨匠として知られているくらいである。
スペイン映画が国際的に認知されるのはフランコ体制が終わってからである。フランコが死んだのは1975年のことだが、その前後からスペイン映画界には自由な雰囲気が生まれ、傑作と呼べるような作品が生まれていった。その当時を代表する監督はビクトル・エリセであり、またペドロ・アルモドバルが続いた。
1987年に、スペインのアカデミー賞と呼ばれるゴヤ賞が創設されると、質の高い作品が数多く作られるようになる。ペドロ・アルモドバルはこの賞の常連となり、アレハンドロ・アメナーバルがそれに続いた。アメナーバルは後にハリウッドに進出し、国際的な活躍ぶりを見せた。
スペインは、1930年代の内戦とそれに続くフランコの独裁時代を体験しており、国民の間には複雑な対立感情があるといわれる。とくに、カタルーニャは反フランコ運動が盛んだったこともあり、独立志向が強い。スペイン映画には、そうした国民の間の対立と分断を感じさせるような作品もある。「パンズ・ラビリンス」とか「サルバドールの朝」といった作品は、21世紀になって作られたものだが、フランコの独裁との戦いをテーマにしたものだ。
スペイン映画全体に共通する特徴というほどのものは見当たらないが、他の国の映画と比べれば、非常に楽天的な雰囲気が強いことと、それを映像であらわしたように、画面が明るいことだろう。とくにアルモドバルの画面は非常に明るい。スペインといえば、太陽に近い国といった印象があり、そうした印象がスペイン映画を明るく見せているのでもあろう。
ここではそんなスペイン映画の代表作をとりあげ、鑑賞しながら適宜解説・批評を加えたい。
ビクトル・エリセ「ミツバチのささやき」:1940年のスペインの田舎
ビクトル・エリセ「エル・スール」:少女と父親の謎めいた関係
ラディスラオ・バホダ「汚れなき悪戯」:少年はいかにして神に召されたか
フェルナンド・トルエバ「ベル・エポック」:共和制時代のスペイン
ダビド・トルエバ「「僕の戦争」を探して」:ビートルズへのオマージュ
フリオ・メデム「アナとオットー」:両親同士が再婚した義理の兄妹の恋愛
フリオ・メデム「ルシアとSEX」:セックス賛歌
スペイン映画「パンズ・ラビリンス」:スペイン内戦と妖精の国
スペイン映画「サルバドールの朝」:フランコ時代の反政府運動
ルイス・ブニュエルの映画
ルイス・ブニュエル「アンダルシアの犬」シュル・リアリズムの映画
ルイス・ブニュエル「黄金時代」:欲情した男
ルイス・ブニュエル「忘れられた人々」:メキシコ・シティの下層社会
ルイス・ブニュエル「ナサリン」:放浪するカトリック神父
ルイス・ブニュエル「皆殺しの天使」:不条理映画の傑作
ルイス・ブニュエル「小間使いの日記」:ジャンヌ・モローの怪しい魅力
ルイス・ブニュエル「昼顔」:フランス人の不道徳な生き方
ルイス・ブニュエル「銀河」:フランス人の信仰の欺瞞性
ルイス・ブニュエル「哀しみのトリスターナ」:フランス風親子丼
ルイス・ブニュエル「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」:七つの大罪のオンパレード
ルイス・ブニュエル「自由の幻想」:フランス人の欺瞞性
ルイス・ブニュエル「欲望のあいまいな対象」:呪われた無信仰者
ペドロ・アルモドバルの映画
ペドロ・アルモドバル「バチ当たり修道院の最期」:スペイン版駆け込み寺
ペドロ・アルモドバル「神経衰弱ギリギリの女たち」:男に捨てられた女たち
ペドロ・アルモドバル「キカ」:セックスと殺人
ペドロ・アルモドバル「オール・アバウト・マイ・マザー」:息子を失った母親
ペドロ・アルモドバル「トーク・トゥ・ハー」:植物状態になった女性たちとのコミュニケーション
ペドロ・アルモドバル「バッド・エデュケーション」:スペイン流衆道(ゲイ道)
ペドロ・アルモドバル「ボルベール」:帰郷をテーマ
ペドロ・アルモドバル「抱擁のかけら」:三角関係+α
アレハンドロ・アメナーバルの映画
アレハンドロ・アメナーバル「テシス」:ホラー・サスペンス
アレハンドロ・アメナーバル「オープン・ユア・アイズ」:夢をめぐるサイケデリック映画
アレハンドロ・アメナーバル「アザーズ」:スペイン流幽霊映画
アレハンドロ・アメナーバル「海を飛ぶ夢」:尊厳死
アレハンドロ・アメナーバル「アレクサンドリア」:女性天文学者ヒュパテイアの半生
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