壺齋散人の 映画探検
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ルシアとSEX:フリオ・メデム



ラテン系の民族は一概にセックス好きという印象が強いが、なかでもスペイン人は、日々おおらかなセックスを楽しんでいるようだ。そのスペイン人の映画監督フリオ・メデムも、セックスをモチーフにした映画を作った。2001年の作品「ルシアとSEX」は、そんなメデムの代表作である。

一人の男をめぐる三人の女の話というべきか。三人の女のうちルシアがもっとも濃厚なセックスを男との間で楽しむ。彼女はセックスをするために生れてきたとばかり、日々セックスをすることに没頭しているふうなのだ。セックスをしている最中は無論、セックスの快楽を予感するだけで全身がしびれてしまうのである。この映画はそんな彼女がロレンソという作家の男との間で繰り返すセックスシーンを主な見せ所としているのである。

セックスシーンばかりでも成り立たないわけではないが、この映画はかなり込み入ったストーリー展開になっている。ルシアはじめ三人の女が一人の男をめぐってもつれ合うほかに、出来事の時系列が入り組んでいて、途中で筋を見失いがちになるほどだ。

映画は、ルシアとロレンソの関係が破綻するところから始まる。傷心したルシアはロレンソをあきらめて新しい人生を始めようと思うのだが、その一方で、過去のことを思いだしては懐かしい思い出に耽る。ルシアのロレンソへの思いは、完全な片思いから始まった。一旦仲よくなるや毎日をセックスで明け暮れるようになる。しかし、そのうち二人の間には隙間ができるようになる。その隙間が破綻をもたらすわけだ。

ロレンソは、ルシアと一緒に暮らしている一方、二人の女と知り合った。ロレンソのマネージャーが、ロレンソの作家としてのインスピレーションを高めてやろうという配慮から、紹介してやったのだ。一人は小さな子どもの世話をしているベレン、もう一人はその小さな子どもの母親だということが後に明らかにされるエレナだ。エレナはその子どもを六年前に出産し、いまはベレンに預けているということが、映画の最期のあたりで明らかにされる。

子どもを抱えたベレンは、自分の母親とその恋人と一緒に暮らしている。そこへロレンソがセックスをしにやって来る。ベレンとロレンソがセックスしている間母親たちは外に出かけて家を空けてやるのだ。ところがその夜に不幸なことが起きる。家で飼っていた大きな犬が、ロレンソが来たことで興奮したのだろう、あやまって子どもをかみ殺してしまうのだ。

そんなこともあり、ロレンソは鬱状態に陥り、自殺未遂と思われるような交通事故を起こしてしまう。ロレンソが死んだと思い込んだルシアは、別の男とつきあうようになるが、最後にはロレンソと結ばれる、というような筋書きである。

これだけ読むと、なんということはない男女の関係と思えるのだが、この映画の見せ所は、筋書の妙ではなく、濃厚なセックス描写にある。とにかく、真っ裸になった男女がもつれ合うシーンは、実にあっけらかんとしている。ルシアはむき出しの尻をロレンソの顔に押し付け、前門は無論後門まで舐めてもらうのを喜ぶのだ。その恍惚の中でルシアは、愛に溺れそうと叫ぶのだが、実際にはすでに溺れているのである。その上で、自分はセックス中毒だと自嘲するのである。

スペイン人というのは、中毒になるくらいにセックスが好きだということか。




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