壺齋散人の 映画探検
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オーソン・ウェルズ:映画の解説と批評

オーソン・ウェルズ( Orson Wells )は若くして天才の名声をほしいままにした。なにしろ16歳で舞台デビューし、シェイクスピア劇を斬新なスタイルで演出し、二十歳すぎたばかりの若年にして、ラヂオの人気者になった。かれのニュース解説は実に真にこもったもので、それを聞いていた人は事実と受け取ったほどだ。その中には火星人が地球に攻めて来たといったデマも含まれていた。とにかく人騒がせなところがあったのである。ともあれ大衆メディアの初期の英雄だった。

オーソン・ウェルズが25歳の時に作った映画「市民ケーン」は、20世紀中は、映画史上最高傑作との評価が高かった。アメリカ社会に対する批判的な視点とか、ミステリー仕立ての大胆な筋書きとか、テンポのよさを感じさせる映画技術などが高く評価されたのだった。

オーソン・ウェルズはまた、舞台俳優としてスタートしたこともあって、その演技力には定評があった。得意のシェイクスピア劇を映画化して自分がその主人公を演じたり、またキャロル・リードの映画史に残る傑作「第三の男」にも出演している。その演技は実にしぶいもので、主演のジョゼフ・コットンの影を薄めるほどであった。

もっともオーソン・ウェルズはなぜかハリウッドでは尊重されず、自分の撮りたいと思う作品が撮れなかった。そこで、B級映画に出演した金をもとに、自分の作りたい映画を作ろうとも思ったが、なかなか思うようにいかず、晩年には精彩がなかった。

晩年というが、かれは1947年に作った「上海から来た女」(32歳での作品)で、すでに迫力を失っていた。この映画は、ハリウッドのセックス・シンボルといわれたリタ・ヘイワースをフィーチャーした作品だったが、ウェルズはリタに魅力に夢中になるあまりに、すっかり常道を逸してしまったと蔭口をたたかれたほどである。

その後、「マクベス」や「オセロ」といったシェイクスピア劇の映画化に取り組み、みずから主演を演じるなど気を吐いて見せたが、1962年の「審判」が多少のウェルズらしさを感じさせたほかは、まともな活躍を見せないで終わった。

そんなわけで、オーソン・ウェルズといえば、「市民ケーン」を監督し、「第三の男」を演じた人物というイメージが、いまでも流通している。しかしこの二作とも映画史に残る傑作であったため、かれの名声は色あせることがないのである。ここではそんなオーソン・ウェルズの作品について、鑑賞しながら適宜解説・批評を加えたい。


オーソン・ウェルズ「市民ケーン」:映画史上最高傑作の一つ

オーソン・ウェルズ「偉大なるアンバーソン家の人々」:アメリカの俄成金

オーソン・ウェルズ「上海から来た女」 リタ・ヘイワースの魅力

マクベス( Macbeth ):オーソン・ウェルズのシェイクスピア劇

オセロ:オーソン・ウェルズのシェイクスピア劇


オーソン・ウェルズ「黒い罠」 アメリカ警察に巣くう悪党

オーソン・ウェルズ「審判」:カフカの不条理文学を映画化


第三の男



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