壺齋散人の 映画探検
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アメリカン・ニューシネマ:代表作の鑑賞と解説


1960年代の末から70年代の初めにかけて、アメリカン・ニューシネマと称される一群の映画が作られた。もっとも、アメリカン・ニューシネマというのは和製英語で、本場のアメリカではニュー・ハリウッド映画と呼ばれている。フランスのヌーヴェルヴァーグを思わせるが、直接の関係はない。この運動に影響を与えているのは、ベトナム戦争である。ベトナム戦争によって、アメリカの良心が傷ついたと感じる人々が、同時代のアメリカへの批判意識を込めて作った映画というのが、アメリカン・ニューシネマの定義といえようか。

アメリカン・ニューシネマの先駆的作品と見なされている「俺たちに明日はない」は、明確な思想性は感じさせず、単に体制への反抗を描いた作品だが、そういう反体制的なところが、以後アメリカン・ニューシネマの共通項になっていった。アメリカン・ニューシネマの傑作といわれる「イージー・ライダー」は、アメリア社会の病理的な側面を強烈に批判したものだし、「カッコーの巣の上で」は、体制に順応しない人間を、精神障害者として抹殺する社会の不気味さを批判した。「ダーティ・ハリー」は、一見すると単なるアクション映画に見えるが、これもアメリカの司法のあり方を痛烈に批判する要素を持っている。

こんな具合に、アメリカン・ニューシネマには、アメリカ社会への反抗とか批判とかいったものがモチーフとしてあったわけだが、それは上述のように、ベトナム戦争への疑問から生まれて来たという歴史的な背景がある。その点では、きわめて時事的な現象だったわけだ。そんなことから、ベトナム戦争が終結すると、アメリカン・ニューシネマも自然に消滅していった。ここではそんなアメリカン・ニューシネマの代表作といわれるものを取り上げて、鑑賞しながら適宜解説・批評を加えたい。


アーサー・ペン「俺たちに明日はない」:アメリカン・ニューシネマの魁

マイク・ニコルズ「卒業」:サイモンとガーファンクルの音楽に乗せて


ウィリアム・フリードキン「フレンチ・コレクション」:麻薬密売組織と警察

ドン・シーゲル「ダーティハリー」:クリント・イーストウッドの破天荒な活躍

ジェリー・シャッツバーグ「スケアクロウ」:奇妙な二人組のロードムーヴィー

ロバート・アルトマン「ロング・グッドバイ」:レイモンド・チャンドラーの小説を映画化

ミロス・フォアマン「カッコーの巣の上で」:精神病院におけるロボトミー手術

マーティン・スコセッシ「タクシー・ドライバー」:社会の不正に立ち向かう男

デニズ・ホッパー「イージー・ライダー」:二人組のバイク旅

ジョージ・ロイ・ヒル「明日に向って撃て」:強盗の異議申し立て

ジョン・シュレジンジャー「真夜中のカーボーイ」:カウボーイにあこがれる田舎者

ロバート・アルトマン「M★A★S★Hマッシュ」:朝鮮戦争時の米軍の野戦病院

ジョージ・ロイ・ヒル「スティング」:詐欺師に寛容なアメリカ

ジョージ・・ロイ・ヒル「スローターハウス5」:ドレスデン空襲の悪夢



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