壺齋散人の 映画探検
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ウディ・アレンの映画:作品の解説と批評


ウディ・アレン(Woody Allen)は、1960年代以降21世紀まで、息の長い活動をした映画作家だ。持前は独特のユーモア感覚で、笑いを通じて世界を斜めに見るといった作風だ。大部分の映画において、監督、脚本、主演を兼ねた活躍ぶりを見せている。ニューヨーク生まれのユダヤ系のアメリカ人で、ユダヤ人としてのアイデンティティを隠さない。みずから主演を演ずることの多い映画の中では、ユダヤ人としてのこだわりを積極的にアピールしている。

ウディ・アレンの監督デビュー作は1965年の「何かいいことないか子猫チャン」。以後、これまでに撮った作品の数は60本を超える。その大部分で自ら主演している。その役柄は、小柄な体つきを生かしたコメディタッチのもので、現代アメリカ社会に生きる人々の、人間関係の難しさについて、独特のタッチで描いている。

1971年の「ウディ・アレンのバナナ」は、カストロ髭をバナナの髭にたとえて嘲笑したもの、ユダヤ人のコミュニズム嫌いを表出した。1973年の「スリーパー」は未来のディストピアを描いたもの。1977年の「アニーホール」は、1986年の「アンナとその姉妹」と並んで、ウディ・アレンの代表作といわれるもの。「アニーホール」は、セックスをめぐるおしゃべりを延々とくりひろげ、「ハンナとその姉妹」は、現代の男女関係のあり方をテーマにしている。

これらの映画は、ハリウッドではなく、ニューヨークで作られた。アレンはニューヨークに拘っていて、ハリウッドとは異なった、都会的なセンスを感じさせる映画を作ることに腐心した。その都会的なセンスは、エレガントな笑いという形をとることが多い。

ウディ・アレンにはまた、「それでも恋するバルセロナ(2008)」や「ミッドナイト・イン・パリ(2012)」といった、大都市の魅力を謳歌した一連の作品群もある。これらは当然、ニューヨークではなく、当該の都市に赴いて撮影した。そうした作品を見ることで、舞台となった大都市が理解できるというわけではないが、その魅力の一端は感じ取れるようになっている。

こうした色々なジャンルの映画を通じて言えることは、ウディ・アレンには、観客への旺盛なサービス精神が見られるということだろう。そのサービス精神があったからこそ、観客の熱心な要望に応えるようにして、60本以上もの映画を作り続けたのだと思う。情熱がなければ、そんなことはできないものである。ここではそんなウディ・アレンの代表作をとりあげて、鑑賞のうえ適宜解説・批評を加えたい。


ウディ・アレンのバナナ:キューバ革命のカリカチュア

ウディ・アレンのSFコメディ「スリーパー」:冷凍保存から蘇った男

ウディ・アレン「アニー・ホール」:シリアスな会話

ウディ・アレン「マンハッタン」:ニューヨーク賛歌

ウディ・アレン「ハンナとその姉妹」:男女のシティライフ

ウディ・アレンのミュージカル・コメディ「世界中がアイ・ラヴ・ユー」

ウディ・アレン「マッチポイント」:アメリカの悲劇

ウディ・アレン「それでも恋するバルセロナ」・アメリカ女のアヴァンチュール

ウディ・アレン「ミッドナイト・イン・パリ」:ベル・エポックのパリ




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