壺齋散人の 映画探検
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昼下がりの決斗:サム・ペキンパー



「昼下がりの決斗」は、西部劇の名手サム・ペキンパーが1962年に作ったもので、彼の西部劇の特徴をよく見せたものだ。ペキンパーの西部劇は、良心的な拳銃使いが、粗暴なガンマンを相手に、ひと働きするというのが定番で、そういう筋書きの西部劇を、かれはテレビ映画として夥しい数の作品を作った。この「昼下がりの決斗」は、そうしたテレビ西部劇の延長にあるもので、迫力には欠けるが、一応楽しめるようにはできている。もっともこの映画は、興行的には失敗で、製作費の回収もできなかったそうである。

若い頃に保安官として名を売った男スティーブ・ジャッド(ジョエル・マクリー)が、年老いて仕事を探しているうちに、金鉱山から掘りだした金を、町に運ぶ仕事を請け負う。この仕事は、山賊から狙われることもあって、非常に危険な仕事だ。一人では無論できない。そこで、保安官時代の友人ギル・ウェストラム(ランドルフ・スコット)と、町の若者ヘック・ロングツリーを助手として連れていくことになる。ところがギルは食わせ物で、機を見て金を横取りするつもりでいる。

彼らは、金鉱山に向かう途中、ある農場に立ち寄り、そこで一泊する。その農場には若い娘がいて、父親と二人暮らしなのだが、父親の説教にうんざりしていて、自立したいと考えている。彼女には、フィアンセがいて、その男が金鉱山にいるというので、その男のもとへ駆け落ちするつもりである。そんな彼女を、彼ら三人組は、金鉱山に連れて行くのだ。

金鉱山で金鉱を回収した彼らの前で、娘とフィアンセとの結婚式が行われる。ところがそのフィアンセには四人の兄弟がいて、いずれも野蛮なばかりか、花嫁を共同で所有したいと考えている。それを知った娘は、結婚を解消して家に戻りたいと思うのだが、結婚したばかりの夫はそれを許さない。そこへ、ジャッド以下の三人組が巻き込まれて、夫とその兄弟たち五人と決闘する羽目になるというのが、この映画の筋書きである。

決斗に先立って、ギルたちの企みをジャッドが見破り、二人を拘束する。そこへ娘の夫とその兄弟たちが、山のなかで襲い掛かる。ジャッドはとりあえず、そのうちの二人を銃殺するが、残りの三人は、娘の住んでいた農場に移動して、そこで待ち伏せる。娘の父親はすでに殺されていた。農場に入ったジャッドたち三人は、無法者三人と決闘することになるが、ジャッドはギルを信用せずに、一人で戦い続けようとする、しかし最後にはギルの力を受け入れて、二人で三人に立ち向かう。三人とも撃ち殺すことはできたが、ジャッドも又瀕死の重傷を負う。そんなジャッドはギルに向って、当初の約束通り金塊を町に届けるように言ってこときれるのである。

筋書きとしては滅茶苦茶なものである。かつてのアメリカ西部と言うのは、どうしようもない無法地帯だったということを、余計な説明を省いて、ストレートにわからせてくれる。この映画に出て来る悪党たちは、自分の欲望だけを指針にして生きている。その点では、トランプ・ギャングといわれる、現代の悪党たちと似ている。

なお、この映画では、西部劇の常連で人気のあったランドルフ・スコットがギルの役をやり、主演というべきジャッドをジョエル・マクリーが演じている。スコットはこの映画を最後に引退したそうだ。




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