壺齋散人の 映画探検
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ビリー・ワイルダー アメリカ映画黄金時代の巨匠


ビリー・ワイルダーはウィリアム・ワイラーと並んで、アメリカ(ハリウッド)映画の黄金時代を代表する監督である。二人にはともにユダヤ系という共通点もある。だが作風はかなり異なっている。ワイラーは、いわゆるアメリカン・ドリームを好んで描いたのに対して、ワイルダーのほうは、「失われた終末」のように、アメリカ社会の暗い側面に焦点をあてた社会派的な映画を作る一方、「お熱いのがお好き」や「アパートの鍵貸します」のようなコメディア映画も得意だった。そのコメディ・タッチの作品に、マリリン・モンローやオードリー・ヘップバーンといった人気絶頂の女優を起用したりして、映画界の大御所としての貫禄を示した。

ビリー・ワイルダーの代表作を一つあげろと言われれば、やはり「サンセット大通り」をあげるのが穏当だろう。これは大女優の没落をテーマにした物語で、スター誕生ならぬスター没落物といってよい作品だが、それを通じてワイルダーは、ハリウッド社会の一見はなやかな見かけのかげで、熾烈な生き残り闘争がくり広げられている冷徹な現実を描いた。喜劇が得意なワイルダーとしては、もっともシリアスで社会的な視線を感じさせる映画である。

ワイルダーは、母親をナチスの強制収容所で殺されているが、反ナチスとか反戦とかいったものは表に出していない。かれの唯一の戦争ものは「第十七捕虜収容所」であるが、これは戦争を批判するというより、異常な状況に置かれた人間達の不可思議な行動ぶりをコメディ・タッチで描いたものである。その点でも、「ミニヴァー夫人」のような戦意高揚映画を作ったワイラーとは異なっている。

ビリー・ワイルダーは非常に多産な映画監督だったが、ここでは彼の代表作といえる作品を取り上げ、鑑賞の上適宜解説・批評を加えたい。


ビリー・ワイルダー「失われた終末」:アルコール中毒患者を描く

ビリー・ワイルダー「サンセット大通り」:老女優の末路を描く


ビリー・ワイルダー「第十七捕虜収容所」:捕虜収容所の日常を描く

ビリー・ワイルダー「麗しのサブリナ」:女性にとってのアメリカン・ドリーム

ビリー・ワイルダー「七年目の浮気」:マリリン・モンローの魅力

情婦:ビリー・ワイルダーの法廷ミステリー映画

ビリー・ワイルダー「昼下がりの情事」:ゆきずりの恋

ビリー・ワイルダー「お熱いのがお好き」:マリリン・モンローの魅力

ビリー・ワイルダー「アパートの鍵貸します」:ジャック・レモンのガールハント





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