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ビリー・ワイルダー「お熱いのがお好き」:マリリン・モンローの魅力



ビリー・ワイルダーの1959年の映画「お熱いのがお好き(Some like it hot)」は、セックス・シンボルマリリン・モンローをフィーチャーした喜劇映画である。喜劇映画の古典と呼ばれるほど、完成度が高く、理屈無しに笑える映画だ。

マリリン・モンローが例によって頭の弱いグラマーな女を演じ、トニー・カーティスとジャック・レモンが女装する。この三人が、女バンドに加わり、奇想天外なドタバタ騒ぎを演じるという趣向だ。モンローの演技はともかく、女装した二人、とりわけジャック・レモンの演技がすさまじい。女より女らしい感じをよくあらわしているのである。

モンローが歌う「I wanna be loved by you」は、世界的に大ヒットした。日本でも、いまだに歌われている。モンローの声はじつにかわいらしく、表情や肉体とならんで、彼女の魅力の源泉となっている。すぼめた口から発せられるキーの高い声は、どんな男でも悩殺させられる。小生はさすがに悩殺されるには年を取りすぎたが。

時代を禁酒法の時代に設定し、したがってギャングたちが出てくる。そのギャングたちに、トニー・カーティスとジャック・レモンが追われるのだ。ギャングたちの活躍ぶりは颯爽としたもので、警察は手も足も出ない。アメリカの警察は、ギャングを有効に取り締まれるほど有能ではない、というふうに伝わってくる。エリオット・ネスなら憤慨するところだろう。

なおこの時、マリリン・モンローは三十三歳になっていた。その年齢なりの風格を感じさせる。頭が弱いなりに、風格を感じさせることもあるのだ。




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