壺齋散人の 映画探検 |
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ビリー・ワイルダーの1960年の映画「アパートの鍵貸します(The Apartment)」は、一様ラブ・コメディの体裁をとっているが、コメディとしてはパンチが効いていないし、ラブ・ロマンスとしても中途半端である。だが作品全体としては、結構アメリカ人好みに出来上がっているとみえて、アカデミー賞ではいくつもオスカーをとった。 ジャック・レモン演じる保険会社員バドと、その会社のエレベータガールフラン(シャーリー・マクレーン)の恋がモチーフである。バドは、小遣い稼ぎと人脈作りを目的に、自分のアパートの部屋を複数の上司に時間貸ししている。上司たちは愛人を連れ込んで、セックスを楽しむというわけだ。その間バドは、屋外で待機していねばならない。 そんなバドが、エレベータガールのフランに好意を抱く。フランには愛人がいる。バドの上司の部長だ。その上司からも部屋の借用を申し込まれる。バドは出世のためだと思って貸してやる。そのかいあって、係長に昇進するのだ。 さて、バドのフランへの思いは高じる。一方フランのほうもバドに心を引かれるようになる。だが現実は厳しい。部長と逢引きした部屋がバドのものだとわかって彼女は心が乱れる。そんなことからフランは睡眠薬を多用して死に損なう。そんな彼女を必死に看病しているうちに、二人の心は強く結びつくようになる、といったような筋書きだ。いかにもアメリカ人が好みそうな筋書きといえよう。 ジャック・レモンは、「お熱いのがお好き」でのとぼけた演技が印象的で、それと比べてしまうのだが、この映画では、かれの持ち味であるおとぼけぶりが見られない。かえって真面目な役柄なのだ。そういう役柄は、レモンにはもったいないというべきだろう。一方、シャーリー・マクレーンのほうは、はまり役といってよい。貧しいながらしっかりものといったイメージは、彼女にぴったりだ。 |
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