壺齋散人の 映画探検
HOMEブログ本館美術批評東京を描く水彩画動物写真西洋哲学 プロフィール掲示板



男はつらいよ寅次郎相合い傘:寅さんシリーズ第十五作



「男はつらいよ寅次郎相合い傘」は、寅さんシリーズ第十五作、1975年夏に公開。浅丘ルリ子演じるリリーが再登場して、寅さんとの間に恋のゲームを繰り広げる。それに船越英二演じるさえないサラリーマンが絡むという内容である。

リリーは前の作品ではすし屋の亭主と結ばれたということになっていたが、そのすし屋と別れ、いまは再びドサまわりの歌手になっている。そんな二人が北海道で偶然再会する。その折に寅次郎は変わった男を伴っていた。船越英二演じるさえないサラリーマンで、この男は世の中をはかなんで家出をしたのだった。その様子がおかしいので、自殺を心配した寅次郎が何かと気を使っていたところに、たまたま函館でリリーと再会したというわけだ。

再開後二人は、柴又でむつましく付き合う。その間に、リリーの中に寅次郎への恋心がはぐくまれる。妹のさくらがそんなリリーに、兄の嫁になってほしいと言うと、意外なことにリリーはそれを承諾する。喜んださくらが寅さんを説得しようとすると、照れた寅さんは逃げ回る。結局寅さんには、結婚して所帯を持ち、地道に暮らすという器用な真似はできないのである。

そんなわけで、寅さんシリーズとしてはめずらしく、寅さんが女性から親身に愛されるという設定の作品である。

だから相合い傘とはいえ、じつは愛の独り相撲がテーマだといってよい。独り相撲はこの場合女のリリーがとっている。それと同じく船越英二演じるさえない男にも、ひそかに思いを寄せているらしい女が出てくる。その女に対して船越は、寅さん同様まともにこたえることができないのだ。


HOME日本映画山田洋次男はつらいよ次へ








作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2013-2021
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである