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男はつらいよ口笛を吹く寅次郎:寅さんシリーズ第三十二作



「男はつらいよ口笛を吹く寅次郎」は、寅さんシリーズ第三十二作、公開は1983年暮。さくらの夫博の父親の墓参をした寅次郎が、その寺の住職と仲良くなったうえに、娘からも惚れられて、このまま坊主となって、寺に婿入りしようかとまで考えるが、例によって、そんな高望みを諦めるといった内容。一作ごとに、失恋の痛手が重くなる傾向のなかでも、もっとも痛い思いを味わうといった趣きの作品だ。

舞台となった寺は、岡山県の備中高梁にある。その寺の住職を松村達夫が、その娘智子を竹下景子が演じている。景子は寅次郎を、最初は父親のよき慰め手として認めていたのだったが、やがてその人柄に惹かれ、寅さんを愛するようになる。父親も娘が寅さんと結ばれることを望む。そんなことから俄然恋心をそそられた寅次郎は、智子と結婚できるように坊主になるための修行をしたいと思い、柴又に戻って、御前さまの指導を仰ぐ。しかし寅次郎に修行が務まるわけはない。

そのうち智子が虎屋に押しかけてきて、寅次郎に愛の告白をしようとする。その思いつめた表情を見た寅次郎は、自分にはこの人を幸せにする力はないとさとり、例によって笑い話に紛らわせてしまう。寅さんに振られた智子は、一人傷心を抱いて寺へ戻っていくのである。

この二人の純愛にからめて、寺の道楽息子と酒屋の娘との愛とか、博の兄弟が父親の七回忌を催すところが絡ませてある。その七回忌の法要の席上、おもいかけず寅次郎の袈裟姿を見たさくらたちはびっくり仰天するのである。


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