壺齋散人の 映画探検
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男はつらいよ拝啓車寅次郎様:寅さんシリーズ第四十七作



「男はつらいよ拝啓車寅次郎様」は、寅さんシリーズ第四十七作、公開は1994年暮。寅次郎の淡い恋心と、満男の新たな恋が描かれる。この時六十六歳になっていた渥美清は、癌が進行して顔にむくみが出ており、とてもまともな状態ではなかったが、体に鞭打つようにして出演したという。また、第一作目から出演し続けていた笠智衆が、前作の公開後に死んでいる。この映画の中では、さくらがゲンちゃんにむかって「御前様はお元気?」とたずね、ゲンちゃんが「元気です」と答える場面があるが、御前様を演じた笠智衆はすでに死んでいたわけである。

旅先で売れない歌手小林幸子に声をかけるところから映画は始まる。そこから二人の恋が始まるかと思えばそうではない。小林とはそこで別れ、寅次郎はいったん柴又に帰って、例によって大騒ぎをしたあとに一人長浜に流れていく。そこでかたせ梨乃演じる旅する主婦と出会い、彼女との間で心の通った触れ合いをするのである。

一方、満男のほうは、泉ちゃんとは離れ離れとなり、浅草の靴問屋に就職したものの、日々悶々と過ごしている。そんな折に大学の先輩から誘われ、その郷里である長浜に赴く。そこで満男はかわいい女性(牧瀬里穂)と出会い、恋心を募らせる。そんなところをばったり寅次郎に見られ、恋の実現に向かって突進しろと励まされたりする。

だが満男は恋の実現を見ずに柴又に帰り、寅次郎も追って戻ってくる。寅次郎は満男に声をかけ、一緒にかたせの家に行ってほしいと頼む。二人は車を飛ばして鎌倉まで生き、そこで娘と一緒に出掛けるかたせを見るのだが、なぜか寅二郎は、かたせに声をかけることなく、一人江ノ電に乗って旅に向かうのだ。

という具合で、寅さんの恋と満男の恋が並行して描かれる。寅さんの恋は例によって片思いで終わるが、満男の恋は成就しそうである。


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