壺齋散人の 映画探検
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デヴィッド・リーン「超音ジェット機」:イギリスのジェット機開発



デヴィッド・リーンの1952年の映画「超音ジェット機(The Sound Barrier)」は、イギリスにおけるジェット機開発をテーマにした作品。ジェットエンジンを搭載した航空機は、すでに第二次大戦期に実用化されていたが、速度が音速を超えることはなかった。音速を超えるのは戦後である。音速はマッハという単位であらわされる。マッハ1が音速に相当するが、それを超えるのは大変なことらしい。マッハ1に限りなく近づくと、飛行機が不安定になり、操縦不可能な状態になる。それをいかにして乗り越え、音速を超える高速を実現するか。各国が技術を競い合っていた。それがイギリスで初めて実現した。この映画は、その実現にむけての関係者の努力を描いたものである。

二人のパイロットをめぐって映画は展開していく。二人は戦時中空軍のパイロットで、プロペラ機を操縦していた。戦後、ジェットエンジンを開発する企業の社長令嬢と結婚した一人が、その企業のテストパイロットになる。かれは事故を心配する妻の忠告を振り切り仕事に打ち込むが、事故で死んでしまう。マッハ1になったところで操縦不能になり墜落してしまうのだ。もう一人がかれの意思をついで、音速の壁にいどむ。そしてついに壁の突破に成功する、といったような内容である。

ひたすらエンジン開発と、それのテストの場面が続く。その合間に家族関係とか友情が絡んでくるのだが、映画の醍醐味は、パイロットたちが音速の壁に挑戦するところだ。原題も「音の壁」になっている。速度が音速になると、空気抵抗が異常に強まり壁のような状態を呈するということらしい。




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