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メリー・ポピンズ(Mary Poppins):ファンタジー・ミュージカル



1964年のアメリカ映画「メリー・ポピンズ(Mary Poppins)」は、ディズニーが子ども向けに作ったファンタジー・ミュージカルである。子どもは無論大人も十分に楽しめる。質の高い作品だ。理屈なしに楽しめる。

メリー・ポピンズとはある種の魔女らしい。魔女と言うと、ヨーロッパでは悪のイメージにまみれているが、この映画の中のメリー・ポピンズは子どもを楽しませてくれる素敵な魔女である。そのメリー・ポピンズがある日、傘に乗って地上に降りてきて、一軒の家で募集していたナニーに納まる。とりあえず数日間。風向きが東から西に代るまでという条件でである。

その家にはおねえちゃんと弟の二人の子どもがいるが、メリー・ポピンズは早速彼らに楽しい冒険を体験させてやる。お仲間らしい大道芸人と一緒になって、芸人が描いたファンタジーの世界に紛れ込んだり、笑い上戸というメリー・ポピンズの叔父を訪ねて、一緒に空中遊泳したりだ。その叔父は笑いすぎると空中に浮かびあがってしまうのだ。

こんな具合に次から次へと冒険がかさなり、そのたびごとに楽しい歌が歌われる。このミュージカルは数多くの名曲をフィーチャーしているのだ。

子どもたちはメリー・ポピンズのアイデアで、社会見学を兼ねて父親のつとめている銀行に出かけるが、そこで大失敗をしたために、父親をピンチに陥れてしまう。子どもたちのために銀行の取り付け騒ぎがおこって、父親はその責任を取らされてしまうのだ。

しょげている子どもたちをメリー・ポピンズは励ましてやろうとして、大道芸人と協力して子どもたちに煙突の中を突き抜けさせる。更に煙突から噴出された煙を階段に変えると、空高く昇っていったりする。子供たちはすっかり喜んで、いままでしょげていたことを忘れて楽しむ。

こんな具合に展開されるのは、そんなに大げさな冒険ではない。小さな子どもにふさわしいような、ささやかなファンタジーだ。しかしそのファンタジーがメリー・ポピンズの歌声に乗って繰り広げられると、見ている方は無性に楽しくなるのである。観客が楽しいのであるから、映画の中の子どもたちはもっと楽しいに違いない。

というわけでこのミュージカル・ファンタジーとも、ファンタスティック・ミュージカルともいうべき作品は、「オズの魔法使い」と並んで、子ども向けのミュージカル映画として今後も長く愛されるに違いない。

なお、メリー・ポピンズに扮したジュリー・アンドリュースは、ブロードウェーで六年間にもわたり、「マイ・フェア・レディ」のイライザ役をつとめた。しかし映画化にあたってはその役をオードリー・ヘプバーンに奪われた。そのかわりにこの「メリー・ポピンズ」に出演し、アカデミー賞主演女優賞をもらった。




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